2009年11月28日土曜日

ほととぎす草


満月に「ほととぎす草」を供えて撮ってみた。
父が亡くなったのは20年前、生きていれば百歳になる。
   
生涯短歌を作り続けた父の影響は大きい。
いつも思い出すのは、夏の夕日が海に沈むのを一緒に
観ていた時のことだ。
「ああ!よかなあ!」と父はきまって叫ぶのだった。
遅くなったけれども、俳句を作っている今の私を
喜んでくれるだろう。
    
   
 父忌日最期の咳のありありと      茜
     
    (ちちきじつさいごのせきのありありと)
   
冬の季語; 咳    秋の季語; ほととぎす草

2009年11月25日水曜日

紅葉散る


草津温泉へ行くのに幾通りかのルートがある。
この日は、中央高速の須玉で降り、清里を通って行くことにした。
道の側の林檎畑を観たり、野菜の直売店に寄ったりして
軽井沢を通る頃には5時間もかかっていた。
    
気がつくと紅葉の只中を走っているのだった。
風に散る黄色の葉が鮮やかだ。
車の後に、落ち葉がくるくると舞いながら付いて来た。
これより草津という看板があってからは、整備された沿道の
紅葉並木に迎えられながら行った。
寄り道にこそ、旅の楽しさがあるように思える。
     
    
素通りのつもりの村や散る紅葉        あかね
  (すどおりのつもりのむらやちるもみじ)
    
冬の季語;紅葉散る

2009年11月19日木曜日

藁塚


この時期になると、北風が川の方から吹いてくる。
寒くなってきたが、空の広がる田んぼまでくると少し穏やかだ。
稲刈りもすでに終わって、ひつじ田となっていた。
刈り取った株に新しく芽が出て、青あおとした田になっている。
ひこばえのなかには、穂をつけた株もあったが、実は入っていなかった。
脱穀された藁は次の使用があるらしく、まとめて干されていた。
小さくて藁塚というより
「藁ぼっち」と言う方が似合っている。
   
    
夕まぐれ肩寄せあえる藁ぼっち        茜
  (ゆうまぐれかたよせあえるわらぼっち))
    
秋季語:藁塚.  藁ぼっち, ひつじ田

2009年11月9日月曜日

洋種山牛蒡(ようしゅやまごぼう)

色づき始めた野山は、持てる力を出し切ろうとしているようだ。
散り行く前の美しさである。
山牛蒡(洋種)は、夏に白い花を付ける。
一度生えると毎年芽をだす丈夫な山野草だ。

根も実も毒性の強い植物らしい。
紫の実をつぶして色水にしてみた事があるけど、
味見しなくて良かった。


薄紅葉小石にヒールとられけり       あかね

(うすもみじこいしにひーるとられけり)

薄紅葉:秋の季語

2009年11月6日金曜日

柚子(ゆず)

N家からの電話で「柚子」を摘みに行った。
いつもの事ながら、鋏を用意して待っていてくださった。
摘むのが好きな私の為に。
固まって生っている柚子の枝を1本伐り、その他にも
「カボス」もいただいた。
庭中に咲いている紫のレウカンサと菊も手に余るほど。
「5000円分はあるわね」と私が言って笑った。
こうして いつも花や野菜を戴いている。


柚子一枝剪れば一本揺れにけり       あかね

   (ゆずいっしきればいっぽんゆれにけり)   

柚子:秋の季語