2010年11月27日土曜日

茸(きのこ)


 歩いていると、「なめこ」を売っていた。
大きいなめこである。
裏山で採れた天然なめこという。
傍にいた小父さんが、うれしそうに言った。
    
写真の皿は直径28センチ、柿と蜜柑と
比較しても「なめこ」の大きさがわかるでしょう。
付いていた朽ちた葉を取り除き、
バター炒めにして、
山のおすそ分けという気持ちで頂いた。
  
  
 土匂う朽ち葉の匂う茸かな    茜
  (つちにおうくちばのにおうきのこかな)
  
秋の季語; 茸  

2010年11月24日水曜日

鴛鴦(おしどり)


 鴛鴦(おしどり)の オスの冬羽はきれいだ。
尾の前に、黄色のイチョウ羽といわれる羽根をたてる。 
メスは鴨に似た地味なグレーらしい。
オスもまた夏羽の色はグレーになり鴨に似るという。
  
この日は雄が一羽だけいた。
メスは近くで巣作りをせっせとしているようだ。
鳥のメスは働き者、誰かに似ている。
小さな小川にくるくると回っていた。
人家の少ないこの辺りは水が澄んでいた。
  
  
 鴛鴦の尾より流れて又のぼる     茜
  
  (おしどりのおよりながれてまたのぼる)
  
冬の季語; 鴛鴦(おしどり)

2010年11月20日土曜日

シオデの実


 シオデの実です。
春のシオデの芽は旨さでは山菜の女王とも
言われ、アスパラに似た味という。
これでユリ科の植物、蔓性である。
  
黒い実を見かけて、さっと前の葉を払うと、
こんなにどっさりの実が隠れていた。
艶やかで、和菓子の鹿の子にも似ていた。
否、鹿の子がこの実の真似をしているのだろう。
  
実の味はたいした事はなかった。
少しぬるい甘さを感じた程度だった。
花の後には実になるのが普通だから
探せば他の植物の実も見つかるかもしれぬ。
  
  
 時雨きて山から烟るシオデの実      茜
  
  (しぐれきてやまからけむるしおでのみ)
  
秋の季語; 時雨

2010年11月17日水曜日

くちなしの実 飯


 くちなしの実が色づいていた。
鳥達が好んで食べにくる。
食べられてしまう前に少しいただいた。
  
この時期に一度は炊いてみる「くちなし飯」です。
中の赤い種を水に浸すと、黄色い水ができる。
その水でご飯を炊くだけです。
染料にもなるほどの色の鮮やかさ。
無味無臭、花の香りはありません。
楽しんでます。
  
  
 くちなしの実のつやつやと通学路      茜
   (くちなしのみのつやつやとつうがくろ)
  
秋の季語; くちなしの実、梔子

2010年11月14日日曜日

おおにしきそう(大錦草)


 おおにしきそう など今まで気にも留めなかった。
道端の目立たない雑草だった。
たまたま接写してみると、なんと実が色ずいている。
実は1ミリ程度だから、わからなかったのも当然である。
  
草丈20~30センチの帰化植物だそうだ。
青かった実も真っ赤になった。 
形はまるで小さな桃のようだ。
雑草というのは返上です。  

  
  
 ジョギングの視野に飛び込む草紅葉     茜
    (じょぎんぐのしやにとびこむくさもみじ)
  
秋の季語; 草紅葉

2010年11月10日水曜日

山ぶどう

 
 山ぶどうはワインにする位だから美味しいに決まっている。
直径8ミリほどの小さな粒だ。
口に入れると野性味のある甘さだった。
充分に熟れているので、酸味は無かった。
  
間違えやすいのに、「野ぶどう」がある。
こちらは、鮮やかな水色や青色の粒で食べられない。
山歩きはこんな楽しみがあるのだ。
竹に絡まってから、私の頭の高さに下がっていた。

  
  
 山ぶどう裏山という呼ばれ様        あかね
   


  
秋の季語; 山ぶどう、野ぶどう

2010年11月7日日曜日

ふくろみもくげんじ(袋実もくげんじ)


 フクロミモクゲンジの実があたり一面敷き詰めていた。
10メートル四方あるだろうか。
どこから散ってくるのか、その樹はまわりのすずかけの木に隠れて見えなかった。
ようやく葉の間から高い天辺に実がついているのがわかった。
そのわずかに見える空からフワリと実は落ちてきた。
  
まんさくのような黄色の花から、この実の形へどのよ
うにしてなるのだろうか。
苞の間に丸い実が挟まれている。
小石川植物園の一角にこんなロマンチックな場所が
あろうとは。  又行きたいと思っている。
   
   
  葉隠れの空より木の実降りてくる     茜
    (はがくれのそらよりこのみふりてくる)
  
  
秋の季語; 木の実

2010年11月3日水曜日

秋桜(あきざくら)、こすもす


 このコスモス畑の前で胸をうたれた。
美しい、さりながら雨風に翻弄され一本として真っ直ぐ
立っている花は無かった。
倒れながらも、半身を起こそうとしている形だ。
  
山陰の小さな捨て畑に、せめて種を蒔いて労ったのだろう。
昔ながらの、素朴な色のコスモス達だった。
美しさと哀れさを詠みたいけれど難しいです。
   
   
  こすもすのうねりは風を呼びやすく   あかね
   
  捨て畑の風の荒らぶる秋桜       あかね
  (すてばたのかせのあらぶるあきざくら)
  
秋の季語; こすもす、秋桜(こすもすのこと)