2010年12月29日水曜日

カリフオルニアでの事 短歌


    (写真はクリックすると大きく見えます)
 掃除をしていたら、30年前の茶色になった朝日新聞が出てきた。
アメリカに居た時、一日遅れで届く新聞が
楽しみでした。
その頃、何度か朝日新聞の短歌の欄に投稿し載った事があり、
その時の新聞でした。
記録として載せておきたいと思います。
写真は父母へ宛てた手紙の一部です。
  
 
 (近藤芳美選) 
 燃え移る暖炉を覗きああ地球の
     はじまりみたいと児は驚喜す   茜

 (前川佐美雄選) 
 メールマン来たり便りの束振りて
     アプリコットの枝押し上げつ   茜
 
(近藤芳美選) 
 我がつけし「嵐が丘」の名の丘に
     夕さればユーカリ撓り吹かるる  茜

 ( 々 )
「原爆記念日ですね」と話しかく
     白人に会いし八月六日      茜
  
  

牡蠣(かき)


 牡蠣が届きました。
ごつごつとした生牡蠣です。私の日常では
めったにお目にかからない物です。
  
広島の友人が送ってくれました。
彼女とは40年来のお付き合いです。
二十歳の頃の飾り気のない青春を共に過ごした仲なのです。
お互いに孫を持つ身になっても、あの頃と
変わらない雰囲気を保っています。
  
  
  
 牡蠣殻の潮こぼせる光かな    茜
 (かきがらのうしおこぼせるひかりかな)

嫁してより一度も会わず賀状書く  茜
 (かしてよりいちどもあわずがじょうかく)
  
  
冬の季語;牡蠣、賀状

2010年12月25日土曜日

聖樹(せいじゅ)


 子供達は外へ出て花を摘んできました。
3段に高く作り上げたケーキに、飾りたかった
のです。
苺を飾り、生クリームを付け、金銀の甘い珠
をふりかけ、チョコレートの粉をふりかけ、
白い砂糖の粉をふりかけ、それでも尚飾りたい
ようでした。
一口食べると、おばあさんは心から言いました。
「こんな美味しいケーキは初めてよ!」
  おしまい。
  
   
 飾るたび聖樹小さくなりにけり  茜   
  
 子等遠く聖樹の裏の壁の傷    茜
  (こらとおくせいじゅのうらのかべのきず)
  
冬の季語;聖樹、クリスマス

2010年12月22日水曜日

落葉


       (写真はくぬぎ林です)
 フィトンチッドという言葉がある。
ある木の前を通りすぎる時、なんとも言えない
杉系の良い香りがした。
踏んでいる落ち葉は、柔らかい感触がした。
見上げる高い樹は何という樹だろうと気になった。
調べると「メタセコイア」。
曙杉とも言い原産は中国らしい。
オレンジがかった色の落葉だった。
少し集めて拾って持ち帰り、家の中に置くと
暖房の熱でほのかな香りがたった。
森の中にいるような「フィトンチッド」
を体験するような感じを楽しんだ。
   
   
  
 歓声の子と踏む落葉匂いたつ  茜
(かんせいのことふむおちばにおいたつ)
  
冬の季語;落葉

2010年12月18日土曜日

蒲団干し(ふとんほし)


 くつしたの刺繍は、約30年前アメリカで息子達に作ったものです。
今もクリスマスの時に出して飾ります。
夫のアメリカへの赴任に伴い5年を過ごしました。
見るもの全てが、映画、テレビで観た風景そのまま
でしたから驚きの連続でした。
英語を勉強し直し、高速道路の網の目のような
インターチェンジの上り下りを練習し、
子供を現地の学校、日本語補習校へと送り迎え、
料理を習い、ご近所とのお付き合いと
毎日が大忙しの日々でした。
今思えば、あれが精一杯だっただろうと
若かった自分を労いたい気持ちです。
  
明日はドイツから孫達が帰国します。
  
  
  
 帰りくる増えし家族の蒲団干す  茜
 (かえりくるふえしかぞくのふとんほし)
  
    
冬の季語;蒲団、蒲団干し

2010年12月15日水曜日

寒林(かんりん)


 夕映えは、つかの間の華やぎだ。
大山はもう黒々としてきた。
標高1250mの6合目あたりの寒林である。
山の端にすっかり葉の落ちた樹々が見える。
その向こうには何が見えるのだろうか。
次ぎに振り向いた時には茜色はなかった。
        (望遠で撮りました)
  
  
  
 寒林の向こうの夕日闇連れて    茜
  (かんりんのむこうのゆうひやみつれて)
  
 
  
冬の季語;寒林

2010年12月11日土曜日

冬木立(ふゆこだち)


 玄米を水に浸した。
日向水くらいの温度にして一日置くと
「発芽玄米」となる。
米の先に見えない程のわずかな突起物が
できる。それが発芽した証拠だ。
窓から差し込む陽は冬木の影を揺らした。
  
時どき食べたくなる玄米食。
白米に混ぜて炊いても良いし、玄米だけに
する事もある。発芽した玄米は白米と同じ
位に柔らかい。
香ばしく噛み締める味がいいのである。
  
  
 玄米を浸す水に揺れ冬木立     茜
 (げんまいをかすみずにゆれふゆこだち)

 生きるとは削ぎ落としゆく冬木立  茜
  
冬の季語;冬木立

2010年12月8日水曜日

冬灯(ふゆともし)


   (写真は変わりました)
 ドガの踊り子をイメージして作った「ポーセレンレースドール」です。(白磁製人形)
白磁のゆるい粘土を、綿レースに沁みこませ服を
着せるようにして一段づつ形成していきます。
顔手足は型どりして、好みの形に作り
1200度の電気炉で焼きあげます。
教室を開き個展もしましたが、糸の一本づつに神経を巡らせ粘土が均一に付くように筆で載せていく作業はもう今は出来なくなりました。   
永遠に色褪せもなく少女のままの人形、疲れも見せ
ずガラス戸の中に座っています。
   
    
  
人形に描く眼差し冬灯        茜
  (にんぎょうにえがくまなざしふゆともし)

  
冬の季語; 冬灯、冬ともし
  
(PCのクリーンアップ)
スタート→すべてのプログラム→アクセサリ→
システムツール→デイスククリーンアップ

2010年12月4日土曜日

鬼胡桃(オニグルミ)


 夏 青い胡桃をつけていた樹に会いに行くと
葉も実もすっかり落ちて、裸木となっていた。
小川へ半分倒れるように傾いで立っていた。
  
実は、樹の下の枯葉に隠れるようにして
散らばっていた。
果肉に包まれたまま、黒く朽ちている。
鬼胡桃は、種が落ちてくる種類とは違い、
果肉も一緒に落ち朽ちるようだ。
この樹の持ち主もわからず、私は山の神さまに
許しを請うて拾った。
  
写真は黒い小さな方が鬼胡桃です。
きれいに洗って干しています。
  
  
 鬼胡桃広げし紙も乾きゆく    茜
  (おにぐるみひろげしかみもかわきゆく)
  
秋の季語; 胡桃、鬼胡桃

2010年12月1日水曜日

ヒヨドリジョウゴの実


「宝石みたい!」と友人は称していた。
ヒヨドリジョウゴの艶やかな珠は本当に
そう形容したかった。
  
蔓性で、葉は朝顔に似ている。
ハート形の葉は山芋の葉です。
この実には、毒があるのを知っていたから
口にはしなかった。さすがに・・

里山が近いとはいえ、この赤い実は
マクドナルドの裏手で見つけたもの。
ちょっと脇道に入ると、昔の街道そのままに
一間幅の道がある。
鳥の眼になって歩いてみるのも面白いと思う。
  
  
 
 赤き実に道を逸れきし小春かな    茜
  (あかきみにみちをそれきしこはるかな)
  
冬の季語; 小春(春のように暖かい晴れた日)