2010年8月27日金曜日

棗の実 (なつめのみ)


棗の実を齧ると 青りんごの味がする。
それも時期と木によっては違うらしい。
去年はみずみずしかったが、今年のはスカスカしていた。
3センチほどのつやつやとした実だ。
茶色の実は、熟れて乾燥が始まった色なのです。
    
木は高く、たくさんの実を付けてしなやかだ。
風を受けて撓る(しなる)強い幹らしい。
茶道具の棗は、この実が由来というのは納得の形だ。
乾燥棗は、中華、韓国料理のスープにはよく使われている。
句は、幾つか作ったので載せます。
    
    
 風入れて青を惜しめり棗の実    茜
     (かぜいれてあおをおしめりなつめのみ) 
  
 熟れながら色の乾涸ぶ棗かな   茜
     (うれながらいろのひからぶなつめかな)

秋の季語; 棗(なつめ) 

2010年8月22日日曜日

糸とんぼ


糸とんぼは、川や水辺の近くで見かけるとんぼだという。
我が家は川と離れているから、そちらから来たという事は
ないだろう。
庭で毎年見るので、住みついている気配だ。
  
庭の隅に直径60センチの水盤を置いている。
水草も結構増えて初夏には花も咲く。
水は取り替えないのに、一年中澄んでいる。
しっかりと根を張った水草の効用だろう。
この水盤が水辺なのだろうか。
  
気をつけて見ないとわからない位の小さなとんぼ。
体長3cmほどだ。
お尻の先の青が目印だ。
ふわりふわりと低いところを飛んでいる。
   
  
 つかの間の朝日に濡れて糸とんぼ       あかね
  
  (つかのまのあさひにぬれていととんぼ)
  
秋の季語;とんぼ

2010年8月16日月曜日


ハグロトンボ(川とんぼ)だと思う。
胴体の青が美しいトンボだった。
蟻が取り巻いていたが、次ぎの日にはもう無かった。
  
段取りを決めるリーダーが居て、解体作業のうえ
運んでいったと思う。
働き者の蟻にとっては軽々とおごそかに進む作業
ったにちがいない。
  
  
 虫の翅を柩のごとく蟻運ぶ      あかね
  
  (むしのはねをひつぎのごとくありはこぶ)
  
 夏の季語; 蟻

2010年8月11日水曜日

夏野菜


E家との食事会。
シャンパンを持参していらした。
宵の口からのシャンパンはすぐに効いた。
ほろ酔い気分になって、ようやく食べ始める。
  
メーンデイッシュは、真ん中の「夏野菜の香草焼き」
庭のローズマリーとタイムをふんだんに使っている。
塩コショウ、オリーブ油、ニンニクで味付けし
焼いただけだが、野菜の旨味が引き出されている。
  
鳥の手羽焼き、トマトと生ハムのサラダ、空芯菜の
炒め物、スープはトムヤムクン、ピリ辛が暑さに
合っている。
遠くで花火の音がした。
 
   
  
 夕涼しワインとトマト持ち寄れば    あかね
  
  (ゆうすずしわいんととまともちよれば)
  
 季語; 涼し

2010年8月7日土曜日

青胡桃(あおぐるみ)


青い胡桃が葉陰にあった。
鬼胡桃とも言うようだが、つるっとした丸い形と鬼とは
どういう関係なのだろう。
  
向こうの田んぼを流れる水がきらきらと
透けていた。
ゆっくりとした動きだが、たえず流れているようだ。
風で稲がそよぐと水はきらきらを増す。
青胡桃は涼しさを纏っているように思えた。
  
晶晶(しょうしょう)という言葉が浮かんだ。
使い慣れない言葉だが、使ってみたい。
  
  
 晶晶と田水の流れ青胡桃     茜
  
  (しょうしょうとたみずのながれあおくるみ)
  
 夏の季語; 青胡桃

2010年8月3日火曜日

黴の宿(かびのやど)


この暑さで、汗疹(あせも)ができた。
首に流れる汗を拭かずにいたら、一日で出来てしまった。
子供の時以来、覚えがないから50年ぶりだろう。
   
とりあえず軟膏を塗ったが効かない。
そこで温泉に行ってみる事にした。
熱い硫黄の湯に浸かって治そうというのだ。
源泉かけ流しは、はずせない。
気になる宿に予約をして出かけた。
  
帰りには温泉水と湯の花を買って、
おかげでもうすっかり治りました。めでたしです。
  
  
 欄干の赤き橋越え黴の宿      茜
  
  (らんかんのあかきはしこえかびのやど)

 黴の宿明るき窓に爪を切る    茜
   (かびのやどあかるきまどにつめをきる)
    
夏の季語; 黴(かび)、黴の宿