2011年2月28日月曜日

剪定(せんてい)


 街路樹は本来の枝を広げる事がほとんど無い。
何の為に植えたのかと疑問に思う。
狭い道路に電線が混みあっているから仕方ない
のだろうとは思うが、伐りかたに容赦ないのだ。
それなら、最初から低木にすればいいのに。
これでもかという位に伐るのだ。
夏、木陰を作りそうになると伐る。
葉が散る前に伐る。
伐られる為に伸びているようだ。
   
   
 剪定の済みし木肌に触れにけり    茜

剪定や年輪の渦濡れており      茜
 (せんていやねんりんのうずぬれており)
  
    
  
春の季語;剪定

2011年2月24日木曜日

山笑う


 流れ落ちる水は止む事はなかった。
どうして流れているのかその原理はわからない。
後ろの山からの水が湧き出しているのには
違いないと思う。

近づくと地面の下を流れるような別の水音が聞こえた。
手に掬うと、水道水くらいの温度である。
ついでに両手を洗った。
  
  
 
 溢れでる水また滲みて山笑う    茜
 (あふれでるみずまたしみてやまわらう)
  
  
春の季語;山笑う

2011年2月21日月曜日

芽吹く(めぶく)


 芽吹きはもうすぐである。
先の尖がったような形の芽は共通している。
それが少しづつ膨らんできているのだ。
色が付いてくるのはもうすぐなのです。
そうしたら
お茶とおにぎりを持って出掛けよう。
萌え出た草を踏んで、遠出をしてみよう。
  
  
  
カンバスを芽吹きたる樹に立てかけて  茜
    
   
春の季語;芽吹く、木の芽

2011年2月18日金曜日

紅梅


 昼間の月はいつ観ても白い。
太陽が沈む時、夕焼け色をバトンタッチしていくのだろうか。
辺りが暗くなってから黄色の月となるのだ。
  
紅梅は褪せることもなく咲いている。
白い月と良い対比でもある。
鮮やかな色を捧げるようにもみえた。
   
   
 昼の月紅梅彩を深めけり     茜
 (ひるのつきこうばいあやをふかめけり)
  
  

春の季語;梅、紅梅

2011年2月15日火曜日

風呂吹き、風呂吹き大根


 E家との食事会。
今回は得意の「ローストビーフ」を作った。
Eさんは、たっぷりの風呂吹き大根を作り、ほかに
新潟土産のにごり酒、烏賊の沖漬け等を持参して
くださった。
食べ物の趣味が合うと話も弾み、
温かい粕汁で最後を締めくくった。
   
 ローストビーフの作り方
  ・牛肉を綿糸で縛り、形を良くする。
  ・フライパンで、玉葱ニンジン等と焦げ目が
   つくまで全面を焼く。
  ・そのまま弱火で転がしながら40分、バター
   ニンニク塩胡椒を加え乾かないように転がす。
  ・肉をアルミハクで包み、冷めるまで置く。
  ・フライパンに残った屑野菜と肉汁にスープの素
   酒、砂糖を加えて「グレイビーソース」
   を作る。
  ・冷ました肉を切り、ソースを添える。
  
   
  
  
  風呂吹きを灯りのごとく真ん中に     茜
   (ふろふきをあかりのごとくまんなかに)
  
  
冬の季語;風呂吹き 
   

2011年2月12日土曜日

雪だるま


 昨夕から降り始めた雪はすぐに止んだようだ。
一面の雪景色とはならなかった。
それでも、近くの原っぱに行くと雪は積もっていて
靴で踏むと、キシッと鳴った。
雪を待っていた人は他にも居たらしく、「雪だるま」が作られていた。
ぽつんと一つ立っていた。
  
  
   
 初雪や踏み出す音の澄んでおり     茜
  
 雪だるま孤独というも消えるまで    茜
  
  
冬の季語;雪、雪だるま   

2011年2月10日木曜日

寒禽、耕し


耕しは始まっていた。
物寄峠という旧街道の石碑を見てしばらく歩くと
突然畑は広がっていた。
陽の差さない北斜面の畑は、長い冬の間じっと
春を待っているのだ。
返されて黒く湿った土は、寒さに触れさせて
害虫を駆除しているのだろう。
これから春に向けて何が蒔かれるのか楽しみに
していよう。

木々の芽吹きは確かではないけれど、うっすらと
紅を被っているように見えた。
   
   
   
 寒禽の緩まぬ速さ野へ出づる     茜
  (かんきんのゆるまぬはやさのへいづる)
  
  
冬の季語;寒禽   春の季語;耕し 

2011年2月7日月曜日

麦の芽


 麦の芽は健気だ。
麦踏みの後、いっそう強く伸びてくるのだそうだ。
近頃は麦踏みの光景を見なくなったけれど、どこか
では踏まれているだろう。
  
「青あおとした」という言い回しは、麦にこそ合って
いる。 青麦、麦青む、という季語があるからだろう。
これから、色づくまでの麦は風を遊んでいるかに見える。
  
   
 
 麦の芽のようやく揺らぐ高さあり     茜
           (ザ・俳句歳時記 収載)
  
  
冬の季語;麦の芽

2011年2月4日金曜日

鬼やらい


 (センダングサの実)
    
 鬼やらいは、もとは宮中で大晦日に行われていた
行事で盾と矛を持って鬼を追い払っていたようだ。
現代では各地の寺社の多くで、節分の夜に豆を撒
き鬼を追い払う儀式だけが行われるようになった
という。
  
鬼は、どこにでも居る。
日常生活の中にいるから恐ろしい。
一番恐ろしい鬼は、己れの中に潜んでいるのかも
しれない。
   
   
 
 鬼やらい内なる声をひたに聞き    茜
   
  
冬の季語;鬼やらい

2011年2月1日火曜日

春近し


 江ノ島からの夕焼けは特別だ。
吟行句会はお昼に始まり、夕日の沈むのを観るの
が恒例である。
遠くに富士山を望み、窓の下に波が寄せるのを観な
がら海の幸をいただき、選句に盛り上がる。
笑いの絶えない仲間の楽しいひとときである。
  
  
 春近し手をさし入れる潮溜まり    茜
  
 岩礁へ鳶もつれ落つ寒の明け       茜
  
 江ノ島へ渡る冬帽韓国語       茜
  
 空広き島の天辺冬木の芽       茜

 薄絹のような波寄せ春隣       茜
  
  
冬の季語;春近し、春隣、冬帽、冬木の芽