2011年9月29日木曜日

山女(ヤマメ)、岩魚(イワナ)


 朝暗いうちから夫は釣りに出かけていった。
9月30日で禁漁になってしまうので、落ち着かな
い様子だった。
わたしも又、イワナやヤマメを食べるのを楽しみに
している。
以前付いて行った時、その清流の中に魚を
見つけるのは容易ではなかった。
夫はちょっとした石の陰や砂の上の魚をよく見分け
るので感心したものだった。
小さな滝の渦巻く水の中から、釣り上げた時の
喜びはそばに居てもドキドキする程だった。
   
清流にしか棲まないイワナやヤマメは、その体も
冷たく人間が触れると火傷をする位、傷つくのだそ
うだ。中には針を飲み込んでしまう魚もいて、大体
の魚は持ち帰る事にしている。
表面はウナギに匹敵する程のぬめりがある。
写真一番上はイワナです。
     
  
  
 空中に岩魚跳ねたる鰭のあと    茜
 (くうちゅうにいわなはねたるひれのあと)

山影を秘めし岩魚のぬめりかな   茜
       
 見入りおり岩魚の歯型親指に    茜    
 (みいりおりいわなのはがたおやゆびに)
   
     
夏の季語;山女、岩魚

2011年9月26日月曜日

稲穂


 台風にも負けず稲穂は健在だった。
ところどころ稲が倒れている田もあったが、水には
浸かっていないようだった。
田の間を歩いていると、稲の匂いに包まれる。
熟れた稲の豊穣たる香り、風に乗せていっせいに
放たれるようだ。
手入れの行き届いた田と畦道、早くから刈り込まれ
た土手は、彼岸花が満開だった。
大山から続いている街道も満開だった。
   


  風が来て重さ生まれし稲穂かな     茜

  
  畦道も巡礼峠も曼珠沙華        茜
   
    
   
秋の季語;稲穂、曼珠沙華

2011年9月24日土曜日

紫ヒヨドリジョウゴ  


 「すみませーん」と叫びながら、自転車が
猛スピードで私達を追い抜いて行った。
その後をついて駆け抜ける集団があった。
疾走ともいえる走り方だった。
田んぼの周りは格好の練習コースなのだろう。 
近くの大学の学生達だと思うが、
その真剣な顔つきとスピードは、練習風景とは
言えないようだった。大事な記録を取るのだろうか。
      
一周してきて次に会った時には、その集団は
ばらけていて、もはや先頭がどの人なのか判らなく
なっていた。
速度のあるあの人が先頭なのだろうと思いながら
見ていた。
必死だろう一人一人の間が開き、やがて最後の
人が前のめりになりながら走って来た。
がんばれーと小さく口の中で言い応援した。    
ヒヨドリジョウゴの紫が道端で揺れていた。
   
   
  
 しんがりは一人で走る草の花       茜
   
   
  
秋の季語;草の花

2011年9月20日火曜日

富士山  秋簾(あきすだれ)


 予約していた新宿高層ビルのレストラン。
早目に着くと日はまだ山の上らしく、眩しくて
富士山はうっすらと雲の一部のようにしか見え
なかった。
やがて、日が沈み逆光となり、富士山は黒く
くっきりと姿を鮮明にした。
手前の新宿まで続く空間が暗くなると
みるみる大きくせり出してくるように見えた。
刻一刻と空の色は変わり、オレンジから紫となり
急に暗くなっていった。
   
   
   
  
 暮れてより富士の近づく秋彼岸     茜
 (くれてよりふじのちかづくあきひがん)
   
   
  
秋の季語;秋簾

2011年9月17日土曜日

韮の花(ニラのはな)


 韮の花が満開です。
茄子の上の白い花が韮の花です。
この花を食べられる事はあまり知られていない。
咲いたばかりの花を摘みとって
さっと湯に通すと、ほのかな韮の香りの
歯ざわりの良いお浸しになる。
ひとつまみの花でも充分。
庭先に一列だけ植えている韮から摘んで。

写真は煮浸しのお汁をかけるのを忘れました。
だから、何か物足りないでしょう。
   
   
   
 門までを猫のすり寄る韮の花      茜
    
   
  
秋の季語;韮の花(にらのはな)   
春の季語;韮(にら)

2011年9月15日木曜日

オニドコロ


 まだ暑いうちから、すだれのように花が下がって
いた。
ようやく実が出来始めて「オニドコロ」とわかった。
ヤマノイモ科の多年植物である。
トコロとは、「野老」と書き、根がヒゲににている
事からきているようだ。
他にも、人に例えて名を付けているのは
「センニンソウ」老人のヒゲに似ているからという。
   
この里山では朝夕少し涼しくなったように思う。
でも、蚊は相変わらずしつこく寄ってくる。
あちこち刺されながら撮った。
  
   
   
  
 止まればすぐに秋の蚊オニドコロ      茜
 (とどまればすぐにあきのかオニドコロ)
  
   
   
秋の季語;秋の蚊

2011年9月12日月曜日

中秋の名月


 今日は中秋の名月がみられます。
満月と中秋が重なり、お天気も上々。
お月見といってもその辺を一回りするくらいですが。
  
稲はもう豊かにみのり、刈られる日を待っています。
水を抜いてある田んぼと水がまだ満ちている田んぼ
がありました。田植えの時期が少しづれているので
しょう。
彼岸花も咲き始めました。
つぼみの硬いのは、まだ赤も強くないですね。
  
  
  
 
  まなうらの今見し月と眠りけり     茜
    
    
   
秋の季語;月

2011年9月10日土曜日

露草


 久しぶりに渓流のある所まで車で行きました。
釣りをする夫は雨の後のささ濁りが好きらしい。
もう3日前に台風は過ぎ去ったのに
渓流の水はまだ濁っていた。
あちこち竿を入れていたが、まったく釣れなかった。
と言っても、わずか20分程度だから遊びの
ようなものだ。
私はその間、草花の写真を撮っていた。
草の中に深入りをするとヒルがいるので危ない。
道端の「露草」の青が美しくアップで撮りましたが、
難しいです。
   
   
   
 露草の青を深めり水の音      茜
   
    
   
秋の季語;露草

2011年9月8日木曜日

葛の花(くずのはな)


 葛の繁殖力はもの凄い。
あっという間にその辺を覆い尽くす。
花の香りは強く化粧臭いという感じだ。
   
福島県の原発事故で、避難を余儀なくされた
方々には本当にお気の毒でなりません。
放射能で汚染された土地がよみがえり、
又普通に暮らせる日々が戻るのでしょうか。
テレビでは、人の住めなくなった町や村が
映し出されていた。
民家の庭は葛の蔓が広がり、戸口まで迫っていた。
コンクリートの道路も両端から蔓の先が伸びていた。
恐ろしい光景だった。
      
   
   
 村あげて避難した道葛の花      茜
 (むらあげてひなんしたみちくずのはな)
   
   
  
秋の季語;葛

2011年9月6日火曜日

稲、稲の花


 今は稲が垂れるほどに実ってきました。
この写真は1箇月前のもので、白い稲の花が
ついています。
毎日変化する自然は、その時どきの一番美しい姿
を見せてくれます。
稲の花が咲き、やがて稲がしっかりと結実すると
田の水を抜き、干された土で実りを育て始めます。
頼りなかった早苗の頃から見守ってきた者にとって
これから、台風等で倒れないように、刈り入れの時
まであと少し頑張ってと願っています。
   
   
   
 どの道も川に沿いくる稲の花      茜
 (どのみちもかわにそいくるいねのはな)
   
    
   
秋の季語;稲、稲の花

2011年9月3日土曜日

世界陸上 天高し


 玉虫を又拾いました。
大映しにしてみると、表面のぶつぶつを発見。
この突起の反射でこの微妙な色が出るのかも
しれませんね。
  
世界陸上を観ていると、どの競技も感動します。
ハンマー投げ、槍投げ、高飛び、短距離、マラソン
どの選手も美しい、しなやかで強靭な身体、
限界まで力を出し尽くすという気迫。
  
玉虫の句は7月19日に作っていますので
世界陸上の句を載せます。気迫が足りないかな。
   
   
    
 玉虫の己が死知らぬ色あわれ        茜  
    
 秋天へハンマー投げの哮りけり       茜
 (しゅうてんへはんまーなげのたけりけり)  
   
 高飛びの身を反らしたる秋の天       茜
 (たかとびのみをそらしたるあきのてん)
   
 ランナーの掠る風さえ秋の色        茜
 (らんなーのかするかぜさえあきのいろ)
   
   
  
秋の季語;天高し、秋天、

2011年9月1日木曜日

金魚


 金魚が泳いでいるように見えないだろうか。
寒天液を多めにした「寒天寄せ」です。
トマトの赤を金魚に見立てました。
フェンネルの葉を水草と思って。
  
金魚すくいで、金魚を紙のポイで追い詰め
すくった時、金魚はポイの上で横倒しになり空気に触れます。
そして、あきらめの目を空に向けます。
  
ときには金魚の気持ちになって・・・
   
   
   
  
 すくわれし金魚一瞬空を見る      茜
 (すくわれしきんぎょいっしゅんそらをみる)
   
   
  
夏の季語;金魚