2011年12月31日土曜日

ひょんの実コレクション


 今年もお世話になりました。
拙いブログにお付き合いくださいまして
有難うございました。
来年も引き続きよろしくお願い致します。
  
「ひょんの実」に慰められた年でもありました。
吹く時は、息をやさしく細くゆっくりと吹き込ま
なければ鳴りません。
自身を癒す音でもあるのです。
探した当初はやっと1個見つけたのですが、
慣れてくると、散歩の度に見つけるようになりま
した。「ひょんの実通り」と呼びたいくらいです。
イスの樹の垣根があるのです。
欲しい方はご一報を。
良いお年をお迎えください。
   
  
  
 何もなき晦日や一人ひょんを吹く     茜
 (なにもなきみそかやひとりひょんをふく)
   
 雑踏にひょんの実を吹く別れかな     茜
 (ざっとうにひょんのみをふくわかれかな)
     
   
秋の季語;ひょんの実

2011年12月28日水曜日

絵皿(チャイナペイント)



 息子達が独立して家を出た十数年前、
皿に二人のイニシャルを描いて絵皿にした。
陶器用の顔料で描き、800℃で焼き付けた
皿である。
趣味が多い方だと思うが、その理由として
一言で言えば飽きっぽいのだ。
ある程度出来るようになると次ぎの事が
気になってくるのである。
こんな絵皿を幾枚も描き、磁器の人形も作り教室も
開いた。
今、絵皿は箱の中である。
皿や人形を焼いた電気炉も眠っている。
そして「俳句」だけは辞められそうもない。
    
この絵皿は家人が落として縁の透かしの部分を
割ってしまったのだが、
このように、継ぎ目がわからぬように接いでくれた
ので許すことにしましょう。
  
  
  
 皿に描くイニシャル大き室の花     茜 
 (さらにかくいにしゃるおおきむろのはな)
   
 接ぎ合わす絵皿の破片冬灯し       茜
 (つぎあわすえざらのはへんふゆともし)  
   
  
冬の季語;室の花(部屋の中で咲かせた花)、冬灯

2011年12月24日土曜日

クリスマス


 友人が焼いてくれました(彼女は日本人デス)
「シュトーレン」というドイツのお菓子です。
ドライフルーツやナッツが練りこまれていて、
いい香りがします。
発酵させていますが膨らまないパンといえます。
ドイツでは、このお菓子をクリスマスを待つ間
薄くスライスして食べる習慣があるそうです。
日がたつにつれて、フルーツの風味がパンに
移っていく為、美味しさが増してくるのです。
形は、キリストを包んだおくるみに似ているとか
諸説はあるようです。
「しょうが湯」を添えていただきました。
   
   
   
   
 クリスマス菓子をこぼるる白砂糖     茜
   
   
 
冬の季語;クリスマス

2011年12月22日木曜日

烏瓜(からすうり)


 まわりが枯れ色となっていくと一層際立つのが
烏瓜である。
赤い実はいつまでもその色をとどめている。
今まで気がつかなかったのに、いきなり目に
飛び込んできた赤い色。
引くとずるずると蔓が烏瓜をつけて出てきた。
   
   
   
     
 からまりていずれの蔓の烏瓜      茜
   
   
   
秋の季語;烏瓜

2011年12月19日月曜日

年の暮(としのくれ)


 戸棚の中に10年眠っていた木の実。
何の木の実かわからないまま仕舞ってあった。
掃除をしていて見つけたものだ。
PCでいろいろ調べてやっと分かったのは、
「フタバガキ科」の木の実らしいということ。
熱帯にあるフタバガキ科の植物の代表的なものに
ラワンの樹がある。ベニヤ板に使うあのラワンだ。
高さ50~80mにもなる高木。
この羽根でヒラヒラと舞って降りてくるのだろう。
  
10年も前にタイ・マレーシアに旅行した事がある。
どうもその時に貰ったか、買ったか、拾ったかした
のだと思う。
記憶がないのである。
面白いものは貯めておく習性があるようだ。
   
   
     
    
 何の実と知らず大事に年の暮      茜
 (なにのみとしらずだいじにとしのくれ)
   
   
  
冬の季語;年の暮

2011年12月17日土曜日

寒落暉(かんらっき)


 鮮やかな夕焼けだった。
わずかの間だったが、何か起きそうな気がする程
鮮烈な光だった。
大山の頂上に当たって「チンダル現象」ともいう
べき影のような筋が出来ていた。
このような自然の前で人は時として不安にかられる
ようだ。明日という不確かな日が本当にくるのか。

冬の夕焼けは、普通弱々しく淡い色が多いが
雲に反射して強い光になったのだろう。
手前には漆黒の暗闇が迫っていた。
   

  
 寒落暉畏れる闇を深くせり       茜
 (かんらっきおそれるやみをふかくせり)
   
   
   
冬の季語;寒落暉

2011年12月16日金曜日

冬瓜(とうがん)


 冬瓜は秋の季語です。
寒くなった今も畑には取り残された冬瓜がゴロリと
横たわっている。
中は充分熟しているだろう。
友人に貰った冬瓜はずっしりと重く、直径24cm
長さ35cmもある大物だった。
粉を吹いたような皮には指の跡がついていた。
刃を入れようとしても、外皮は堅くなかなか切れ
ない。刃先を差し込むように入れテコの原理に
従って「エイッ」とばかりに刃を下ろすと、
ようやく切れた。
中の真っ白な果肉からは、透明な水が滲みでた。
種を包んでいるふわふわの所は、メロンに例えると
一番甘い部分である。
しかしこれは涙をのんで捨てよう。
肉厚の実を切り分けて、椎茸ともどし汁で煮る
ことにした。
   
   
  
 冬瓜を抱きかかえきし指の跡      茜
  
 やるせなき地震や冬瓜真二つに     茜
 (やるせなきないやとうがんまふたつに)
    
  
秋の季語;冬瓜

2011年12月13日火曜日

十二月


 横浜の夜景です。
日曜日とあって大変な賑わいでした。
赤レンガ倉庫街では、ドイツビールやポテト
暖かいスープ等がテントで売られていました。
クリスマスが近づいてくると、とたんに
華やかに賑やかになっていきます。
大勢の皆さんが楽しんでいました。
こうして活気付くのは良い事だと思います。
経済波及効果も上がる事でしょう。
まわりのホテルの窓の灯がちょっと寂しい
気がしました・・。
久しぶりにのんびりと夜の街をそぞろ歩き
したのでした。
   
   
   
   
 映る灯を波畳み込む十二月      茜
  
 着ぶくれて観覧車の灯見上げけり      茜
 (きぶくれてかんらんしゃのひみあげけり)
  
   
   
   
冬の季語;十二月、着ぶくれ

2011年12月12日月曜日

枯菊



 谷戸の夕暮れは何かを焚くことで始まる。
煙は横にたなびき谷戸を出ていこうとはしない。
遠くの煙を写してみると、炎が立ち上がったり
低くなったりしながら、煙の量も次第に多く
なっているようだ。
中にいる人は、棒の先で掻いているようだが、
時どき叩いているようでもある。
炎を調整しているのだろうか。
この後すぐに辺りは暗くなってしまうのだ。
  
   
   
  
 寄りし身に惑う煙や枯菊焚く      茜
 (よりしみにまどうけむりやかれぎくたく)

 新任の僧のジーンズ枯菊焚く      茜
   
   
   
冬の季語;枯菊

2011年12月10日土曜日

皆既月食


 夜 10:40 現在の月です。
真上に近い月は、ぶれてなかなか撮らしてくれ
ません。
それでも、月を隠していく地球の影がうっすらと
みえました。
皆さんはごらんになりましたでしょうか。
   
   
   
  
 ほの赤き地球の影や冬の月      茜
   
 まなうらの今観し月と眠りけり    茜
  
 皆既月食手に図解して凍てほぐす   茜
 (皆既げっしょくてにずかいしていてほぐす) 
  
  
冬の季語;冬の月

2011年12月9日金曜日

寒さ


 幼い頃、姉と話したことがある。
「花嫁さんになるときは危ない仕事の人とはやめ
ようね。」
夜火事のサイレンが鳴り響き、風の強いこの夜を
命がけで助けに向かっている人がいる。
台風がきて一番激しく吹き荒れる頃、電線の切れた
危険なところへ出向く人達がいる。
   
お父さんがその危険な仕事に出て行く家族の
心細さを想ったのだろう。
幼いなりに、その仕事の大変さをわかっていたのだ。
今でもその大変さに変わりはないのだ。
  
高い鉄塔に、上がり下がりしながら作業をしている
人達がいた。
電線を伝って進んでいる人もいた。
目眩がしそうな光景だった。
安全第一お願いします。
   
   
   
 鉄塔に人動きいる寒さかな       茜
 (てっとうにひとうごきいるさむさかな)
   
   
   
冬の季語;寒さ

2011年12月6日火曜日

切干(きりぼし)


 大根の美味しい季節です。
まず、太い中ほどをふろふき大根やおでんの種と
して煮込みに使います。
その時に剥いた皮と残りの大根は、短冊に切って
干します。
小春日和の風の無い今頃は、3日位干すと程よく
しなびて、少し柔らかさが残っています。
それを食べやすい大きさに切り、砂糖、醤油、酢、
味醂に漬けます(火を通して酢を飛ばしてもよい)
飴色になった漬物は、良い箸休めになっています。
    
   
   
 切干や屋根の傾斜のゆるやかに     茜
 (きりぼしややねのけいしゃのゆるやかに)
   
   
  
冬の季語;切干

2011年12月4日日曜日

冬ざれ、時雨(しぐれ)


      (雨のあがった競艇場)    
 朝から雨が降り続いていた。
句会はウオターフロントにあるビルの22階で
始まった。
雨の為吟行に出ることが出来ず、見た景色の
嘱目吟という事になった。
展望の良い窓から見る街は雨で煙っていたが、
初冬の静かな感じがありいいものだった。
眼下に「競艇場」があり、海水を引き込んだ
このコースは休みの日でひっそりとしていた。
午後から晴れるとスカイツリーもくっきり見え
会は佳境に入った。

持参の「ひょんの笛」を、素敵な句にはお祝いに
遅い方には励ましにと、合いの手のごとく吹いた。
こんな事が許される愉快な句会なのである。
   
   
   
   
 冬ざれや競艇場の吹流し      茜   
 (冬ざれやきょうていじょうのふきながし)
  
 時雨るるや高さ失うビルの街    茜
 (しぐるるやたかさうしなうびるのまち)
   
   
   
冬の季語;冬ざれ、時雨(しぐれ)