2011年5月30日月曜日

滴る


      (望遠レンズで撮りました)
  丹沢山塊の登山道入口を1kmほど歩いた所で
谷を隔ててこんな風景に出会った。
岩登りの練習風景と言ってもいいのだろうか。
この岩登りを楽しんでいるようでもある。
   
よく見ると綱一本に全体重をあずけてよじ登り、
切り立って垂直に近い岩壁に、人間が挑戦している。
なんと無謀で逞しい人達だろう。
どうか無事で楽しんでくださいと願わずにはおれなかった。
   
   
   
 命綱かかる大岩滴れり        茜
 (いのちずなかかるおおいわしたたれり)
  
命綱張りし登攀岩灼ける       茜
 (いのちづなはりしとうはんいわやける) 
  
  
夏の季語;滴る、灼ける

2011年5月27日金曜日

田水張る


 ようやく田に水が入り始めた。
まだ全部の田には行き渡らないけれど
水の音が高くなった。
  
鴨の親子がさっそく遊び始めている。
この辺に住みついている鴨らしい。
田植えが済むと苗の間を泳ぎ回り、雑草を
食べてくれるでしょう。
     
一つの田んぼに向こうの山が映っていた。
この時期ならではの風景である。
   
   
   
 田水張り山の天辺映し出す       茜
 (たみずはりやまのてっぺんうつしだす)   
   
     
夏の季語;田水張る、代掻く

2011年5月25日水曜日

南風


 キーウイの花を初めて見ました。
雌雄異株と同株があるようですが、この花は
どちらでしょうか。
葉陰に咲くと黄色が灯るように見えました。
香りは柑橘系で爽やかです。
   
南の国からきたキーウイは、この時期の南風を
待っていたかのように咲き始めました。
   
      
  
 南吹くキーウイ棚の影混みて    茜
 (みなみふくきーういだなのかげこみて)
    
  
夏の季語;南風、南(みなみ)

2011年5月23日月曜日

アカシアの花


 ニセアカシアの花です。
この時期に目立つ白い花の中でも、緑の斜面に
丸い形で白く咲いているのは、多分ニセアカシアです。
 
真っ白といえない色がやさしく、かすかな香りが
漂ってきました。
この花はてんぷらにして食べられますが、
豆科の落葉高木、枝に棘があるこの木の
花を食べるというのも不思議な気がします。
   
ブログに載せるのも急がないと次々と種類の違う
樹木が花をつけます。忙しいー。
   
   
   
 楽しさや峰を真近に針槐      茜
 (たのしさやみねをまじかにはりえんじゅ)
  
     
夏の季語;アカシアの花、針槐(はりえんじゅ)

2011年5月20日金曜日

茅花流し(つばなながし)


 この土手の花を幾度撮ったでしょうか。
今は茅(ちがや)の花穂が銀色に光っている。
風が吹くと土手に這うようになびき
その度に銀色が眩しい。
この後、絮(わた)となって飛んでいくでしょう。
  
まだ蕾のころの花は噛んでみると少し甘いらしい。
昔の子供は食べていたようですね。
水が入る前の田んぼの上に雲雀(ひばり)が
高く揚がっていました。
揚雲雀という季語があるのに、近頃はちっとも詩心
が動かないので困っています。
(この土手に咲く花→つるぼ、彼岸花、仏の座、
   茅花、仙人草、すいば、野かんぞうetc)
   
  
茅花流し歩く速さの揃いくる    茜
 (つばなながしあるくはやさのそろいくる)
   

 茅花風ピンクに透ける猫の耳       茜  
   
   
夏の季語;茅花流し(この頃に吹く風のこと)
春の季語;茅花

2011年5月17日火曜日

烏賊(いか)


 「水烏賊」を夫が貰ってきた。
足まで入れると約1メートル。大きさに驚いた。
趣味で釣った烏賊で、崖を降りた岩場で釣るのだそうだ。
(正式名称 アオリイカ)
  
まず足を切り離し、両脇のえんぺらを切り取る。
腹の中には真っ黒な墨の袋10センチが2個
ワタを支えるように左右にあった。
透き通ったプラスチックのような中骨が舟の形をしている。
生きている時は身が水のように透き通っているので水烏賊というらしい。
  
白い身を削ぎ切りにして皿にならべると、豪華!
食べきれないのでご近所にも分け、残りは冷凍に。
ねっとりとして甘く柔らかい身でした。
   
   
  
    
 烏賊骨の俎板透かし残りけり    茜
 (いかぼねのまないたすかしのこりけり)
   
  
夏の季語;烏賊

2011年5月14日土曜日

水木


 水木の花があちこちに咲いている。
白く階段状に咲く花は、緑の濃くなっていく中で
とても目立っている。
粟粒ほどの小さな花が葉の上に固まって咲く。
   
この時期を待って一本の水木に会いに行く。
落葉高木の水木は、大きく羽根を広げるように
今年の枝を増やしているようだ。
土には蘂か花びらなのか、うっすらと積もっていた。
   
   
   
 風に乗り水木の翼花こぼす     茜
 (かぜにのりみずきのつばさはなこぼす)

花附いて枝漲らす水木かな     茜
 (はなついてえだみなぎらすみずきかな) 
   
  
夏の季語;水木

2011年5月11日水曜日

胡桃の花 (くるみのはな)


 鬼胡桃の花が咲いていた。
川に乗り出すように樹は立っている。
湿った土地、川の近くに生える事が多いという。
山から流れてきた水は此処へきて緩やかになっている。
実は房になっていたから、下がっている緑が花だろうか。
では、上の赤い花は雄花だろうか。
秋には胡桃が又収穫できると思うとうれしい。
(注:赤いのは雌花、下がっている緑は雄花だそうです)
   
     

   
 山水の鎮まる深み花胡桃      茜
(さんすいのしずまるふかみはなぐるみ)
  
 麦秋やがらんどうなる生家閉ず   茜
(ばくしゅうやがらんどうなるせいかとず)
  
   
   
夏の季語;花胡桃、青胡桃、麦秋

2011年5月8日日曜日

白鷺(しらさぎ)



 白鷺は音もたてずに首を伸ばしてじっとしていた。
最初私は鷺が何をしているのか解らなかった。
しばらくすると、
一瞬で小魚を咥えていた。
それを後ろの土手に叩きつけて飲み込んだ。
  
白鷺は何事もなかったように、池のふちをゆっくりと
歩いてきた。
私の目の前を一瞥もくれずに通り過ぎた。
金色の目に威圧されたかに、身動きできなかった。
   
   
  
 歩きくる鷺の目の色怖ろしき     茜
 (あるきくるさぎのめのいろおそろしき)
  
 白鷺の己が影刺す水鏡    茜
   
  
夏の季語;白鷺

2011年5月5日木曜日

くさふじ


雨あがりの道端に紫の花をみつけた。
「くさふじ」は、絡み合ってこんもりと群生していた。
実は数粒の豆果をつけるという。
  
黄砂(こうさ)が舞うこの季節に、わずかでも雨が
降ると有難いと思う。
やっと芽吹いた木々の葉、植えたばかりの花の苗、
どれもが、ピカピカの葉を保ちたいのだ。
そして、雨の匂いに燕もやってくる。
今年はどの家の軒先に来るだろうか。
   
  
 つちふるや家中にいて口渇く     茜
 (つちふるやいえなかにいてくちかわく) 
   
 燕来て家の内外掃き清む      茜
 (つばめきていえのうちそとはききよむ)
   
  
夏の季語;つちふる、黄砂、燕

2011年5月1日日曜日

山わさび


久しぶりに「山わさび」を掘り出してみた。
お肉に添えようと思い庭の片隅の、
新芽の下をスコップで掘った。
  
去年3cmほどの使い残しを埋めておいたが
一年の間に大きく育っていた。
英語ではホースラデッシュといい、おろし金で
おろして肉等へ添えるのである。
ツーンとくる山わさびは、ご飯に振り掛けても
新鮮である。
使い残しは、勿論また埋めて育てるのです。
  
      
  
 来し方を綺羅と残せり蝸牛     茜
 (こしかたをきらとのこせりかたつむり)
   
  
夏の季語;蝸牛(かたつむり)