2011年7月31日日曜日

花萱草(はなかんぞう)



 青田となって水は忙しい。
水路は田を縦横に走っている。
苗も丈が伸び、分蘖(ぶんけつ)が始まっている。
分蘖とは、根を張り、根に近い方から枝分かれして
いく事である。
一株が太く、本数が増えているのだ。
この時期は草取りも大変らしい。
苗の列の間に入って、ヒエや雑草を取っていた。
いつもの土手は、萱草の花が盛りで
そこだけ残して刈られていた。
  
   
  
 夏草の影を叩いて水奔る      茜
 (なつくさのかげをたたいてみずはしる)
   
   
 花萱草田にワイシャツの人動く   茜
 (はなかんぞうたにワイシャツのひとうごく)
 

夏の季語;花萱草、夏草

2011年7月28日木曜日

炎暑


 久しぶりに俳句仲間と会った。
場所設定をしてくださった方のお陰で
洋上レストランなる所で句会をする事ができた。
   
確かに海の上で、静かに絶えず揺れていた。
180度見渡せる窓からは、
遠くにベイブリッジが見え、その間を観光船が何艘も
行き来していた。その船着場もこのレストランに
隣接しているのだった。
是非また来たいと思った。
   
日本丸は文部省の航海練習帆船で、今はビルの前に
停めて博物館になっている。
   
   
 
 日本丸街に炎暑の綱緩む       あかね
 (にほんまるまちにえんしょのつなゆるむ)

   
 ベイブリッジの点滅あえか夏霞    あかね
 
  
 
夏の季語;炎暑、夏霞

2011年7月24日日曜日

煙の木(スモークツリー)


 ただ座っているだけで汗ばんでくる。
朝は涼しいと感じたが、午後からはそうはいかなかった。

散歩の途中で観る「煙の木」はふわふわとして
遠目には煙のように見える。
葉の色が赤と緑の種類があるようだ。
この家の様子はわからないけれど
煙の木がお洒落な佇まいを彩っている。
   
   
   
   
 風死して吐息の如き煙の木     茜
 (かぜししてといきのごときけむりのき)
   
   
夏の季語;風死す

2011年7月19日火曜日

玉虫


 遠回りの散歩をしていると、いろいろ
落ちているのをみつける。
何の実だろうと思いながら拾ってしまう。
どんぐりまでは分かる。
丸いのはサルナシの実?だろうか。

玉虫の翅は、死んでも色を失わないようだ。
生きている時と同じような色だが死んでいるのだ。
箪笥の中に入れておくと着物が増えるという俗信が
ある。法隆寺の玉虫厨子にはこの翅が用いられている。

      
    
 玉虫の己が死知らぬ色あわれ        茜
 (たまむしのおのがししらぬいろあわれ)
      
 玉虫の死を受け入れぬ色として       茜
 (たまむしのしをうけいれぬいろとして)
     
   
  
夏の季語;玉虫

2011年7月15日金曜日

楊梅(やまもも)、山桃


 楊梅(やまもも)は暖地の山地に自生するそう
ですが、樹形がいいので庭木にもされています。
一枝いただきました。
バス通りの歩道に1cm位の実がポトリポトリと
落ちているのが目につきます。

実は甘酸っぱくて、種に付いている実を歯でこそげ
るようにして食べます。
ほのかに針葉樹のような香り。
幼い頃に食べた懐かしい味。

これを「果実酒」にしましょう。
ワインレッドの楊梅酒ができるでしょう。

  
 
  故郷の山の匂いよ楊梅は     茜
  (ふるさとのやまのにおいよやまももは)

やまももと知らずに踏みて人通る 茜
   
  道ふさぐ蛇の屍まわれ右     茜
  (みちふさぐへびのしかばねまわれみぎ)  
   
   
   
   
夏の季語;楊梅

2011年7月10日日曜日

茄子(なす)


 輝くばかりの茄子です。
ご近所の友人が採ったばかりの茄子を
自転車で届けてくれました。
 
さっそく紫蘇と塩揉みにしました。
いつもあちこちから頂く野菜はどれも新鮮そのもの、
切り口がまだ濡れています。
じゃがいもは、皮が洗っただけで剥けてしまいます。
いずれも家庭菜園で収穫した野菜ばかりなのです。
ありがたい事です。
   
   
   
 摘み取りし両手の茄子のキシと鳴く     茜
  
   
  
夏の季語;茄子

2011年7月4日月曜日

泰山木の花(たいざんぼくのはな)


 小学校の裏門に咲いていた。
大きな花は、ちょうど数え易いかのようにまばらに
咲いている。
日を溜めて、白く輝く高貴な雰囲気がする花だ。
葉は艷があり、朴の花と見分けやすい。
花の写真を撮った後は、あまり気に止めないので、
この花が崩れるように散るのか、ある日突然落ちる
のか、まだ知らない。
   
   
    
  泰山木花の見下ろす登校児    茜
  (たいざんぼくはなのみおろすとうこうじ) 
    
  葉は雨を払う泰山木の花      茜
  (ははあめをはらうたいざんぼくのはな)
   
   
  
夏の季語;泰山木の花