2012年7月29日日曜日


かつて子供達を養う為に、父も母も若くて
田畑に毎日出ていた時があったのだろう。
その子供達も独立して街へ行ってしまったのだろうか。
この道の奥には、賑やかな人声と生活が
あったに違いない。
二本の道は車の轍の跡か、その昔は馬車も通った
かもしれない。
思わず誘われるように、この小道へ入ってしまった。
草に埋もれてしまった庭は夏の日差しに
あえいでいるかのようだった。




まぼろしや芭蕉くぐれば父の声    茜




秋の季語;芭蕉

2012年7月25日水曜日

紫蘇(しそ)ジュース


今夏二回目の紫蘇ジュースを作った。
出盛りの紫蘇は、量、色共に豊かである。
家人が珍しく文句を言わず飲むので、又
作る事になった。
我が家用には、砂糖控えめ、お酢たっぷり。
お客様用には程よき甘さが必要。
沸騰した湯に紫蘇を入れ、煮てから取り出し
砂糖を入れひと煮立ちして、酢を加える。
使ったミッカン酢の瓶に、ジュースをもどして
保存する。
写真後方の瓶は紫蘇ジュース原液です。
夕方の散歩の終わりにこのジュースが待っている。

(我が家用: 水で10~20倍に割って飲みます
すっぱいですよ) 
紫蘇    1束
砂糖    2カップ
水     1リットル
酢     500CC 



我等いま一病息災紫蘇ジュース      茜




夏の季語;紫蘇

2012年7月22日日曜日

羅(うすもの)、絽(ろ)


絽の着物から仕立てたワンピースです。
なるたけカーブの裁ち方をしない為に
袖は身頃から続けて筒袖にしました。
その下も布を横に三段使い、だんだん広くして、
裾広がりにしてみました。
カーブに裁ったのは、襟ぐりと袖下だけです。

案外しっかりとした硬い生地で、ピンと張りがあり
体に添うという感覚はありません。
風が、布と身体の間に一つ入っている感じ。
絹糸を重ねて強く撚る(よる)為にその張りが
出てくるそうです。




羅の百年を経し墨の色      茜 

羅の手触り母の座り胼胝     茜
(うすもののてざわりははのすわりだこ) 



夏の季語;羅(うすもの)

2012年7月18日水曜日

姫檜扇水仙(ひめひおうぎすいせん)


アヤメ科、葉の付き方が檜扇(ひおうぎ)の様で、
根は水仙のような球根である事からその名があるという。
この花を乾燥させ湯に浸すとサフランの香りがするという。
サフランはヨーロッパではその香りと色で魚料理等に
使われるなじみの深いスパイスです。

友人がたくさん咲きすぎたと持って来てくださった。
オレンジ系と赤が混じっている。
お盆にかけて咲く元気のでるような色合いが素敵だ。
   
   

2012年7月14日土曜日

褪せた紫陽花


家に帰ってみると、外の草花が思いの他茂っていた。
豪雨のニュースがしきりに聞こえてくる。
少し剪定して庭掃除をしてから
色あせた紫陽花、
ルリタマアザミの青、
フェンネルの花の黄色、
紫蘭の葉、
を花瓶に生けてみた。
庭に咲く草花で間に合わせている。
紫陽花が、葉の色の緑色へ変わっていくのが不思議な
気がする。



紫陽花の色褪せてまだ雨の中     茜



夏の季語;紫陽花

2012年7月13日金曜日

路面電車



鹿児島市の路面電車です。
市街を走っている路面電車のレールの間は
「緑」の芝生で覆われていて、
柔らかそうな芝とその緑色は、街の中のオアシスの
ようです。
1912年(大正元年)から運行されているというから
もう100年の歴史があります。
桜島の噴火で、風向きによっては市街に灰が降って
くるため窓の開ける必要のない冷房車が、
全国に先駆けて昭和56年には登場しています。
市民の足となっている市電の運賃は一律
大人 160円
小人  80円

この天文館通りはちがう樹でしたが、
どの道路も街路樹の楠が10メートルはあろうかという
高さで若葉の枝を広げていました。
電線を埋設している為、切り詰められる事も
なくのびのびとして気持ち良い街でした。



 大空に楠若葉あり電車来る      茜



夏の季語;楠若葉

2012年7月4日水曜日

箱庭


小学校のひっそりとした裏門にあった。
きれいに小石で縁どられた苔のかたまり。
苔はどこにでもある「ホソバシラガゴケ」のようだ。
投げ捨てられた苔の山に
誰かが小石で飾ったものだろう。
良く見ると、苔の一つの塊りが丘にみえないだろうか。
起伏のある大小の丘や山。
子供達は、想像するに違いない。
夏の季語に「箱庭」という自然を模して作られた庭が
あるが、これもそれに類すると思う。



箱庭の谷に倒木雨止まぬ     茜



夏の季語;箱庭