2014年7月27日日曜日

空蝉(うつせみ)

蝉の抜け殻に、白い毛のようなものが立っている。
毎年見るたびに、これは何であるかを知りたかった。

蝉が脱皮するのは、全身であり、眼や脚はもちろん、
呼吸器の気管も脱皮する。
その呼吸器等の管の脱皮した物が白い糸状になっているのだ。
だから、殻を割ってみると中には約20本の白い糸が並んでいる。
あらゆる処からの管の痕なのだった。
やっと解ってうれしい。

ちいさな児が両手に蝉の殻をいくつも載せていた。
「一つちょうだい」と言うと、「あっちにあるよ」といって歩きだした。



 空蝉を捧げもつ児について行く        茜


2014年7月24日木曜日

花魁草(おいらんそう)

ピンクの背の高い花が花魁草。
左上の丸坊主が千日紅。
中心がインパチェンスの八重咲き。
左端が紅白のフクシャ。
玄関先に、赤系の花だけ寄せ植えにしてみた。
野にあるピンクのユウゲショウも中にそっと入れた。



折れそうにすっと高きは花魁草         茜


2014年7月20日日曜日

かみきり虫

「るりいろ」のそれは綺麗な虫だった。
長い触角に黒い星が並んでいる。
4センチほどの華奢な体つきだ。
胴体に糸をかけて、しばらく繋いでおいた。
「ルリボシカミキリ」をくぬぎ林で捕まえてきた孫。
去年まで逃げていたのに、逞しくなったものだ。
ちなみに糸をかけたのは誰あろう、この私しかいないのだ。
つかむとキーキーと鳴いた。


 かみきりの何に抗いキーと鳴く        茜


2014年7月16日水曜日

ノシメトンボ

  
夏らしく草花の生い茂った庭になった。
秋海棠(しゅうかいどう)の大きな葉が重なり合っている。
その上にいた「ノシメトンボ」は、あちらこちらと飛び回る。
色の少し変わったもう一匹といたから、つがいだろう。
この狭い庭を見つけてトンボや蝶がきてくれるのは喜びだ。

ノシメというと 熨斗目 と書く能の小袖を思い出すが
このトンボの名前の由来も、そこから来たのだろうか。



 庭は今熨斗目とんぼの初舞台        茜


2014年7月13日日曜日

李(すもも)

食卓に変化を彩どりをと、主婦は考えている。
すももの美味しい食べ方を聞いたら、すぐに試さずにはいられない。
簡単に作れると聞いたら尚更だ。

  すもものコンポート(砂糖煮)の作り方
  すもも10個位と砂糖1Cを炊飯器に入れ、保温にして一晩。

こんな簡単な方法で、柔らかいコンポートに。
たっぷり滲み出た赤い煮汁は、甘いので炭酸で割ってジュースにできる。
少し艶やかさは失せたが、甘いデザートとして
しばらくは楽しめそうだ。



 荒梅雨の仁王の舌の赤さかな        茜

2014年7月8日火曜日

ナワシロイチゴ、ヘビイチゴ



上・ ナワシロイチゴ、苗代の時期に熟れるからだという。
下・ ヘビイチゴ、蛇が出そうな処にあるからという。
諸説はあるようだが、私には区別は難しい。
どちらにも毒は無いが美味しいものでもない。
ナワシロイチゴは砂糖を加えてジャムにするとよいらしい。
ヘビイチゴは、名前のせいで見ただけで逃げまーす。


(短歌)
木苺を一つだけでも食べたなら
            きっと貴方は変わると思う   茜

2014年7月2日水曜日

少年の夏


近くの小鮎川に、鮎が大群で上って来ていたという話を
聞いたことがある。
少年が青芦の中に網を差し込んでいた。
まさか鮎がいるのだろうか、何かの小魚かコエビが
いるかもしれない。
ドキドキしているだろう。
次の瞬間をスッと想像するだろう。
さあ!!   
どうかな!



 空広く少年声を嗄らす夏          茜

 少年の声青葦の水揺らす         々