2014年8月31日日曜日

秋初め

秋風が立ち初めた。
何か忘れ物をしたような、戸惑うような心持だ。
大雨の後すっかり空気まで冷やしてくれ、
朝夕の涼しさに加えて、夜中も寒くて目が覚めるほどだ。
庭のトマトも枝先に青い実を残しているが、もう勢いはない。
グリーンカーテンを作っていたゴーヤの収穫もそろそろ終わり。
生ったままで黄色になり、柔らかくなった半分を落としている。
中の赤い種は、甘く赤い果皮に包まれている堅い種である。
ちょうど柿の種のように、そこだけが違う感触でツルッと剥けるのだ。
この赤と黄色、薄れていくグリーンのグラデーションを、
もう少し見ていたいと思う。



 足元の風の速さも秋初め      茜



2014年8月25日月曜日

ホップ

ホップは「西洋カラハナソウ」といわれている。
本物であれば、ビールの原料の一つで、苦味、香り、泡に重要であり、雑菌を抑えるのでビールの保存性を高めるという。
しかし、ここは北海道ではないので、ビールに使える物かどうかはわからない。
蔓が勢いよく伸び、葉も茎も細かい棘でざらざらしている。
花をとって、手で揉んでみたが、特別な香りはしなかった。
庭の片隅に咲いているが濃い緑が目立つだけだ。
アーチを作ると良い形になるだろう。



 カシカシと籠掻く夜の兜虫            茜


2014年8月19日火曜日

水掛け祭り

 

17日 東京 深川八幡祭り、通称「水掛け祭り」へ行ってきました。
          
報道によると、観衆30万人、担ぎ手2万5千人 の人出だったようです。
53基もの神輿が界隈を通ります。
神輿、観衆、水をかける人、一体となり湧きあがる歓声に
祭りだ! と久しぶりに心が躍りました。




 降る如く神輿にかかる清め水         茜

 水かぶり担ぎ手となる荒神輿         茜


2014年8月17日日曜日

苦瓜

和室の濡れ縁の前に植えた五株の苦瓜が、二階まで伸びて
グリーンカーテンになっている。
毎朝収穫しても、まだまだ生っている。
すぐに熟れて黄色になるから早く食べなくてはならない。
黄色く熟れてきたものは、薄く切ってサラダで食べる。
長く大きなものは、ざくざく切って炒めゴーヤチャンプルに。
肉と煮てもみた。
味覚も鈍ってきているからか、改良されているのか、あまり苦くも
感じない。
今日も食べて、この量を消化しなくてはならないのだ。



 蝉生(あ)れて日の触れぬ間のうすみどり      茜

  
 渾身の震えや蝉の生れにけり             茜


2014年8月12日火曜日

白南風(しろはえ)


 
夏休みの自由課題の相談を受けて、孫のショルダーバッグ作りの手伝いをする事になった。
夫の古いズボンの裾から25センチを切って袋状にし、
私の持っていたレースを縫い付け、
端切れで作った裏地で、リバーシブルにした。
ベルトは、レースが縫い込まれていたもので、これにぴったりの雰囲気。
彼女のデザインどおりのバッグがどうにか仕上がった。
二人とも好きなことには熱中するということを、
発見した幸せな一日だった。



 
白南風やはためくものを追うており          茜


2014年8月7日木曜日

炎天

(庭のミニトマト)

 熱中症の手前でとどまっているが、この暑さには参る。
猫や犬をみていると、じっと日陰に身体を伸ばしている。
あの形が、暑さを凌ぐのにいいのだろう。
涼しいところで体をあまり動かさずいるのが良いようだ。
とは言っても、
家居の者だから言えることであって、働く人には当てはまらない。
散歩の途中にある工場では、一年365日、金属を切る音や、削る音が響いている。
休み時間になると、人々が出て来て作業服の胸をはだけたりしているのを見かける。
相当な暑さだろう、御苦労さまですと思いながら通り過ぎる。



 
炎天にほてりを冷ます旋盤工        茜



2014年8月2日土曜日

茄子

茄子は野菜の中でも地味な方である。
トマトのような華やかさも、主張する味もない。
だが、水を弾いてつややかな紺の肌、
その張りに包まれた柔らかい中身は、
たっぷりと水を含んでいる。
きざんで塩で揉むと、しみでる水の量に驚く。
その分どんな味付けにもなじむのだ。
ひとたび調理すると、和風で三杯酢に、焼きナスに、煮物に、
炒めてイタリアンにもなり、りっぱな主役になるのだ。
夏の野菜として欠かせない茄子、
今日は焼こうか、蒸そうか、炒めようか、茄子は楽しい!



 
 長茄子の紺を鎧いてみずみずし        茜