2014年6月27日金曜日

夏椿


夏椿は沙羅の木の花の別名でもある。
五弁花で、朝に咲き夕べには落ちる一日花だ。
明るい葉の中に、さらに明るい白い花は
いかにも爽やかである。
樹皮の赤褐色も美しく、薄く剥がれる。
剥がれる季節はさて何時だっただろうか。



 見ていると次第に大きく夏椿        茜


2014年6月23日月曜日

岩煙草

雨の北鎌倉行きとなった。
名月院の紫陽花は人波に隠れてしまうほど。
総勢7名のグループは、東慶寺の方へ歩くことにした。
露座仏の後ろの崖は「岩煙草」が満開、
半夏生も花菖蒲もほたるぶくろも雨に濡れそぼっていた。
約2時間吟行のあと句会となった。


 
岩煙草濡れおり谷戸の尼の墓

尼寺のほたるぶくろに灯を入れよ

谷戸深く青梅落ちる音したり

紫陽花を見る人波を抜けてより文士の墓の並ぶ寺奥


2014年6月20日金曜日

木苺


 林の近く、道端によく見かける木苺である。
食べると甘酸っぱく、でもすぐに忘れてしまう味。
たくさんは無いので、せいぜい1,2個摘む程度だ。
連れに一つすすめても、「結構です」と断られる。
彼は道端の木の実、あるいは虫がついているかもしれぬ物は
断じて口にしないのだ。
それなら、農薬のかかっている量産品の苺なら旨いのか。
そんな筈はないでしょう。
一度は食べてごらんなさいよ。



 会える日の近し木苺摘み溜めて        あかね


2014年6月17日火曜日

余り苗

余り苗は置かれているだけで、植えられている訳ではない。
田植え機に据える形に、四角の箱でまとめて育てられたのだ。
運よく植えられた早苗は、晴ばれと田水に姿を映している。
しばらくは、補充する為に置かれている余り苗も
早苗が大きく育っていくと、無用になるのだ。
決して実をつける稲に育つことは無いのである。
あわれ!余り苗。



 青々とそよいでおりぬ余り苗        茜



2014年6月15日日曜日

雪の下


 雪の下は、湿った処に咲くようだ。
この北の斜面は、誰も手を入れないので伸び伸びと繁茂している。
お寺へ散歩に行くのに、旧道と呼ばれるこの細い道を通る。
こんな古い道で、好きな山野草を見つけるとうれしい。
木苺、松風草、へび苺(好きではないけど)もあった。
雪の下は、食べられる草でもあるらしい。



 旧道の山風が好き雪の下         茜



2014年6月13日金曜日

桑の実


近所を歩いていると、道路が黒くなっている処がある。
桑の実が落ち潰れたり踏まれたりで、
黒く染まっているのだ。
仰ぐと、高い桑の木があることに気づく。
昔、生糸をとるため蚕の餌の桑畑があったという。
その丘に私達の町ができたらしい。
あちこちに見る桑の木に歴史を感じるのである。



 この町の桑の実熟れて住み慣れし     茜



2014年6月10日火曜日

どくだみ


庭のあちこちに咲いているどくだみ。
雑草と言うなかれ、白い十字の花は可憐でさえある。
紫陽花も伐って一緒に活けてみた。
伐ったばかりの葉の色は強さを感じさせる。
翌朝、少し体裁を整えて撮ってみたが、
それではどくだみの奔放な強さは失せてしまう。
やはり最初のこの一枚の方が良かった。



 どくだみの花奔放なまま活けし       あかね



2014年6月7日土曜日

竹の皮脱ぐ


筍がどれくらい大きくなったら竹と呼ばれるだろうか。
獣のような毛が密集した皮を脱いでいくのも
ある丈になってからだろう。
中央右の一本はまだ脱ぐ気配はないようだが、
左はもう少しで脱ぎ終わろうとしている。
太さも充分の竹だ。
ともあれ、脱ぎ棄てて一本の竹になる時なのだ。



 竹の皮脱ぐなりふりを言えぬ刻        茜


2014年6月4日水曜日

朴の花


下の集落からバス停への近道が、
林の中へひょろひょろと出来ていた。
わずか30メートルほどだが、日も通さないような
密集した雑木林だ。
赤い木苺をみつけ、水色のタツナミソウをみながら、
爽やかな風にふと顔を揚げると
朴の花が一つ高い処に見えた。
今年初めての朴の花である。
(望遠レンズで撮りました)



 朴の花一つ風来るほうに見し         あかね