2014年10月30日木曜日

イヌタデ(赤まんま)

イヌタデはタデ科の一年草。
茎先に1~5センチの穂状の花を出し、紅色の小花をたくさんつける。
花弁は無く、花弁に見えるのは萼である。
イヌタデの名には「食べられない蓼」という意味合いがあり、
料理に使うのはヤナギタデで、別名をホンタデ、マタデなどというそうだ。
稲刈りの終わった土手や畔に群れて咲いている。



 赤まんま暮色明るき村に住む        茜




2014年10月25日土曜日

痰切り豆(タンキリマメ)

痰切り豆は、草地や林縁など日当たりのよいところに生える。
中の黒い豆を煎じて飲むと効能があるとされている。
これは、まだ弾けておらず黒い豆は出ていなかった。
弾けると、豆は莢の端にぶら下がり、鳥に食べられるのを待っているそうだ。
(近所にて)


東京根津美術館での吟行句
   
 秋光や鳥獣戯画の猿駈ける      茜

 鵙猛る牙の欠けたる石の象      々
 
 銅鏡の秋草模様しぐれけり       々   
  
 

2014年10月19日日曜日

秋蒔き


上; 丸いプランターには、チューリップの球根を植えている。
   表面に、忘れ名草の芽がでている。  
下; 忘れ名草、ペンステモンの新芽

 春に咲く花の多くは、秋蒔きにしてこそ良く咲くのである。
春、咲き終わった種をとっておき、
先日蒔いた「忘れ名草」「ペンステモン」がいっせいに芽を出した。
これから双葉が出て、それを間引いたり植えかえたりして大きくする。寒い冬を外で過ごし強くなっていくのだ。
赤いチューリップの間を、忘れ名草の水色が埋めるのを想像して
みてください。素敵でしょう。



 小ぬか雨秋の球根位置につく         あかね

2014年10月12日日曜日

檀(まゆみ)の実

 
 

檀の実は淡紅色からだんだんはっきりとした紅色になってきた。
自然の色はこんなにも美しいと改めて感じる。
この後、四方に割れて赤い種が出るのだ。

近所に除草剤を撒いている話があった。
草の害は、刈り取れば済む話だが、
化学薬品の害は、深く浸透していつしか我が身にも及んでくるのだ。
山からは猿が降りてくる季節になった。
どの家も柿が生り放題で、採る人手が足りないのか、もう口にあわない果物になったのか、それが目当てのようだ。
でも猿を追い払う話はあっても、駆除しようという話はない。




 山猿の来るよ弾けぬ檀の実         茜


2014年10月7日火曜日

溝蕎麦

溝蕎麦は、草はらの隅に目立つこともなく咲いている。
田んぼや用水路のそばで見かける花だ。
1センチ程の花は金平糖のようで可愛らしいが、茎には細かい棘がある。
葉が蕎麦に似ていることから、この名があるという。
これによく似て見間違う花に「ママコノシリヌグイ」がある。
棘が下向きについて尖っているので触れると痛い。
これでママコの尻をぬぐうとは何という酷い名前だろう。
似た花でもこうも名前が違うと哀れに見えてくる。



 野分立つ辞書めくる手のしめりかな     茜

愁思ふと草の名少しうそくさし         茜
 

2014年10月1日水曜日

岩魚



 10月から禁魚期に入るので、今年最後の渓流釣りだった。
車で少し山へ入ると、すぐに渓流の谷へ近づく。
通い慣れた細い山道を歩き、夫は一人で沢へ下りていく。
辺りは谷から聞こえる瀬の音が響くだけ、静かな山の中である。
私は、昼過ぎの少し斜めに射してくる太陽光を背に、
草や木の実の写真を撮っている。
釣り人が通りかかり、「釣れましたか」と聞く。
「いいえ、全然です」と答える。
釣れていてもそう答えるように夫からいわれているからだ。
今日も二人分の夕飯のおかずは捕れたようだ。



 

 
  沢釣りに薄の光り及ばざり          茜