まさかトンボを捕まえようとは思ってもいなかった。
トンボも捕まるとは思っていなかったに違いない。
草の秀(ほ)にとまっているトンボの翅を、後ろから
そっと掴むと一瞬 間があった後、バタバタと暴れた。
うっかり夕焼けを見ていたら襲われたのだ。
トンボにしてみれば何がなんだか分からなかっただろう。
写真を撮るために持ち替えて、足を掴むと
私の指先をしきりに噛んだ。
渾身の力だろうに、少し痛いけれど傷つくほどではなかった。
この小さな生き物。
離してやると、すぐに明るい空に紛れてしまった。
とんぼうの翅の乗せたる茜空 あかね
(とんぼうのはねののせたるあかねぞら)
シオカラトンボ(雄)→ ムギワラトンボ(雌)