通りかかると、そこにおばあさんが小さな背を丸めて
しゃがんでいた。 具合でも悪いのだろうかと思い、
「どうかなさいましたか」と声をかけた。
おばあさんはヨロヨロと立ち上がると
握り締めていた手のひらをゆっくりと開いてみせた。
何本かのマッチ棒のように見えた。
「それは何ですか」
「ナンバンギセル」 ぽつりと答えた。
初めて見るこの花が、「ナンバンギセル」なのか。
名前だけは知っていた私は、
感激して一緒にさがす事になった。
芒原旧知のごとく笑いあう あかね
(すすきはらきゅうちのごとくわらいあう)
丈は10センチくらい。芒の根に寄生しています。
別名「思い草」ともいわれているこの草は万葉集にも
詠まれているようです。
道の辺の尾花がもとの思い草いまさらになどものか思はむ
(詠み人知らず)