ヒルガオ
私が60代のある夏の日、イギリスの通信社で働いていた姪から結婚式の招待状が送られてきた。イギリス人と結婚するというそれにはドレスコードが記されてあり、
「男性はタキシード、女性は訪問着」と指定されていた。
留袖は喪服に間違われるのでNGだそうだ。夫は米国生活の時誂えていたタキシードがあるが、私はどうしようか。彼女の日本人としてのアイデンティティーを大事にしたいという考えを汲み、他に一緒に行く親戚と相談し、着物を着て盛り上げようということになった。50代の頃最後に作ったのは地味な着物だったので、40年も前成人式に母が用意してくれた訪問着にすることに。幸いそれは花柄ではなく、鳳凰が羽根を広げている柄、袖も普通丈に直していた。かくして大荷物を持ってイギリスへ。他に一緒に行った方には娘の着物を借りてきたという人も。日本人一行が一番人目をひいてしまった。 まさか60歳過ぎて成人式の着物を着ようとは思ってもみなかったが外国の結婚式ならではの行動だった。ちなみに花嫁さんも、勿論振袖姿だった。 この私の着物は孫のお宮参りにはお嫁さんに着てもらい、私の20歳、お嫁さんの30歳、私の62歳と、晴れの日には40年を通じて活躍してくれた。さすがにもう私には着れないが着物は永く着れるものとわかった。今でも最初に着た時と同じ感触のふっくらとした縮緬生地なので、古臭くなくもしかすると孫が着てくれるかもしれないと嬉しい想像をしている。
成人式の筆者
60代の筆者
(投稿欄を出しても、赤い〇マークが出てこないので、新しい投稿が出来ない状態です。どうしたらいいものか。。トホホ)