ヨーロッパの白アスパラガス(実際は真っ白なアスパラガス)
NO,3 イタリア記 旅行にはちょっとしたトラブルは付き物だ。個人旅行となると何が起こるか分からない、その場で解決しなくてはならない事がある。ベネチアからローマへの列車に乗った時の事。その車両はほぼ満席に近く楽しそうな雰囲気に満ちていた。そこへ車掌が「切符拝見」と回ってきて、私達の所へ来ると切符を取り上げこう言った。「この切符は使えない。今すぐ金を払え。後で調べて払っている事がわかったら返す。」夫は「この切符(周遊券)ですでに旅行中だ。最初に払っている。」これの繰り返しで押し問答になった。乗客達は何事かとこちらに注目しているのが感じられた。私は夫の上着をひっぱり「ここは払って、後で返してもらったら?」と言うと夫は「なにを馬鹿な事をいう。払っているではないか。この車掌は何人の日本人にこういう事をしてきたのだろう。後で返すという事はありえないよ」と立ち上がった。すると車掌は日本人にしては大柄の夫を見上げると何も言わずに立ち去ろうとした、その瞬間夫は車掌の手から切符を取り返したのである。、、、どうなることかと見守っていた乗客達は、にこやかに何事もなかったように席に座った。
一見落着、夫は「君はすぐ騙されるタイプかもね」と言った。そうだろうと私も思った。
しかし、少しも揺るがなかった夫の態度に、海外での仕事が多かった夫の姿を垣間見たような気がした。
その後も、快適な列車の旅を続けた。その同じ切符(周遊券)で。
(夫の後日談:その頃のイタリア国鉄事情を知っての上の発言だった。との事です。その夏ナポリではゴミ収集者のストライキが長引き街中ゴミの山という事で私達はそこを避けたのだった)
緑陰は明るき方を向くところ 美