(玉虫)
(玉虫の腹側)林の中を散歩していると、虫の死骸を見かける。
蝉、かぶとむし、とんぼ、玉虫など、今までどこに生息していたのか、
どの木に居たのか、まだ仲間がそこらにいるのだろうかと辺りを見回す。
彼らが死んだからこそ、わが手に載せているのだ。
まじかに見ることはほとんど無いこの昆虫達の翅の色、脚のつき具合、硬い眼を、
しげしげと観察する。
彼らが生きている時は何となく怖い、蝉の脚にしがみつかれた時の驚きは子供時代の恐怖だ。
私達の持たない脚や形、行動が怖いのだろうか。
だいぶ大人になり鈍感になった今平気で手に載せている。
玉虫の不自然にも見えるこの色、
私には金属のようにも見えるのだ。
金属を溶接した時、まわりに虹色の変色が見られる。
そんな色に似ていると思う。
玉虫の金属武装する途中 美代
玉虫の己が死知らぬ色あわれ 〃