2009年9月26日土曜日

ナンバンギセル

空き地の芒(すすき)がきれいに刈られていた。
通りかかると、そこにおばあさんが小さな背を丸めて
しゃがんでいた。  具合でも悪いのだろうかと思い、
 「どうかなさいましたか」と声をかけた。
      
おばあさんはヨロヨロと立ち上がると
握り締めていた手のひらをゆっくりと開いてみせた。
何本かのマッチ棒のように見えた。
 「それは何ですか」
 「ナンバンギセル」  ぽつりと答えた。

初めて見るこの花が、「ナンバンギセル」なのか。
名前だけは知っていた私は、
感激して一緒にさがす事になった。

芒原旧知のごとく笑いあう       あかね
 (すすきはらきゅうちのごとくわらいあう)  
     
丈は10センチくらい。芒の根に寄生しています。
別名「思い草」ともいわれているこの草は万葉集にも
詠まれているようです。
         
道の辺の尾花がもとの思い草いまさらになどものか思はむ
                      (詠み人知らず)

2009年9月23日水曜日

ツルボ


実りが豊かに見える田んぼほど、畦や土手の花がきれいだ。
   
持ち主がしょっちゅう来て、田んぼの草を抜いたり、
土手を刈っているから、よく花が咲く。
一方雑草の多い田んぼの土手は、草に埋もれて
花は見えないのだ。
他人の田んぼながら、雑草の混じった田の収穫は
どうなのだろうと気になってしまう。
それほどよく通っている場所だ。
薄紫のツルボが、今年も咲いていた。
  
 一本のすすきを持ちて歩きけり   あかね
   
   (いっぽんのすすきをもちてあるきけり))
  

2009年9月18日金曜日

秋海棠(しゅうかいどう)


我が家の狭い庭に、ピンクの秋海棠(しゅうかいどう)が
1ヶ月も咲き続けている。
庭に咲く花は、ほとんどが多年草、宿根草である。
冬は枯れて何も無い庭となる。
言い換えれば、ほったらかしの庭だ。

地面には土が剥き出しにならないように、ヒメイワダレソウを
這わせている。
夏の照り返しを防ぎ、雨の日は泥 よけとなっている。
朝、庭に降りてしっとりとした草花に触れるのが楽しみだ。
   
 日の差して花野明かりの狭庭なる      あかね
  
  (ひのさしてはなのあかりのさにわなる)

花野(秋の季語)

2009年9月14日月曜日

新涼(しんりょう)


ロンドンのアンテイーク・マーケットに行った時
「パンたて」を買った。
焼いたパンを立てておくのである。
8枚切のパンをカリカリに焼いて、それを二つに切り
三角の薄いパンを立てておく。
宿泊したB&Bでは毎朝そうして出てきた。

息子達が居た頃は、朝からどんぶり飯だったので
パンはおやつでしかなかった。
今二人の生活になって、朝食はパンになった。
    
   
 新涼や銀器を一つ卓に置き       あかね
       
   (しんりょうやぎんきをひとつたくにおき)
   

2009年9月12日土曜日

しゃじん(沙参)


ウオーキングをしていると思いがけない花に出あう。
ツリガネソウもその一つである。
風に揺れて今にもいい音をたてそう。
ゆるい斜面に一株だけ咲いていた。
夏 山百合が咲いていた斜面だった。
   
石段の真ん中白し草の花          あかね
     (いしだんのまんなかしろしくさのはな)
   
ここまで書いて、13日のNHK趣味の園芸で「しゃじん」が
取り上げられていました。
この花は「しゃじん」でした。ごめんなさい。
キキョウ科ツリガネニンジン属シャジンです。
  
草の花(秋の季語)

2009年9月6日日曜日

ムギワラトンボ


まさかトンボを捕まえようとは思ってもいなかった。
トンボも捕まるとは思っていなかったに違いない。

草の秀(ほ)にとまっているトンボの翅を、後ろから
そっと掴むと一瞬 間があった後、バタバタと暴れた。
うっかり夕焼けを見ていたら襲われたのだ。
トンボにしてみれば何がなんだか分からなかっただろう。

写真を撮るために持ち替えて、足を掴むと
私の指先をしきりに噛んだ。
渾身の力だろうに、少し痛いけれど傷つくほどではなかった。
この小さな生き物。
離してやると、すぐに明るい空に紛れてしまった。
     
 とんぼうの翅の乗せたる茜空       あかね
  
  (とんぼうのはねののせたるあかねぞら)
  
シオカラトンボ(雄)→ ムギワラトンボ(雌)

2009年9月2日水曜日

茗荷(みょうが)


「茗荷を採りに来ませんか」とNさんから誘いの電話があった。
もちろん、二つ返事で飛んで行った。
小雨の中、畑の一角にこんもりと茗荷が茂っていた。
胸ほどの高さの茗荷を掻き分けると、茗荷の子がびっしり。
潜るように屈むと、中は暗く根元まで光は届いていなかった。
「前人未踏だね!」
誰もまだ入ってない場所だったらしい。

例えば、林檎をもぎ取る楽しさがあるように
収穫の楽しさは、どんな作物にも共通してあるのだった。
袋いっぱいの茗荷の子があっという間に採れた。
茗荷の中にかがんで採った10分は
大きな喜びだった。
 
音すべて雨に吸わせる茗荷の子     茜
  (おとすべてあめにすわせるみょうがのこ)
    
地底まで潜るここちや茗荷採り     茜
   (ちていまでもぐるここちやみょうがとり) 
   
      
茗荷竹(春の季語) 茗荷の子(夏) 茗荷の花(秋)

2009年8月30日日曜日

紫蘇ジュース



今年も紫蘇ジュースを作った。
少し夜風の冷たくなったこの頃だが、まだ赤紫蘇は売っていた。
沸騰させた湯の中に赤紫蘇を入れると、色は湯の中へ移り
赤紫蘇は青い葉になってしまう。
葉を取り除いた黒々とした湯へ砂糖とお酢をいれるだけ。
飲む時は水で割って飲みます。
 
赤紫蘇  1把  
水     1リットル
砂糖   カップ2と1/2
酢     900cc or 500cc を1本(お好みで)
  

夏惜しむグラスの露を傾けて     あかね

(なつおしむぐらすのつゆをかたむけて)   

2009年8月27日木曜日

仙人草(せんにんそう)



仙人草の花の香りは 野草の中のナンバーワンだと思う。
すがすがしく少し甘い香りは、立ち去り難くする。
蔓性の植物だ。
その一部を引いてたぐると、花は零れずに房になって
付いてくる。手に持つと垂れて
「ウエデイングブーケ」のようだ。
   
下の写真は昨年11月頃、仙人草が実になった時。
仙人草の名は、この実のように仙人の白髭のように
なるからと言われています。
本当に不思議がいっぱいです。
(仙人草は歳時記には載ってないようです)
      
   
たとえれば星くず浚い仙人草    あかね
   
(たとえればほしくずさらいせんにんそう)



2009年8月25日火曜日

秋刀魚(さんま)

魚のなかでも青魚といわれている魚がとりわけ好きだ。
秋刀魚が出てくるとうれしくなる。
初物の秋刀魚を買って、さっそく秋刀魚の鮨を作った。
開いて酢でしめた秋刀魚と飯の組み合わせ。
少々大きくなったが 良いことにしよう。
  
水飲んで身体治めて秋刀魚割く      茜
  
(みずのんでからだおさめてさんまさく)

2009年8月22日土曜日

稲の花


田んぼの傍を歩くと、もう稲の匂いがする。
そのはず、「稲の花」が咲いていた。
稲穂の一粒ひとつぶに花を付けている。
写真中央の稲をみるとわかります。

葉先の露が光っていた。
夕方になると、吸い上げた水を蒸発できなくなるのだろうか。
やがて実りの時期、この谷は稲の匂いに満たされる。
  
逆光の山の濃淡稲の花       あかね
  
(ぎゃくこうのいねののうたんいねのはな)

2009年8月20日木曜日

白粉花(おしろい、 おしろいばな)


昼の暑さも治まって、少し風も出てきた。
白粉花は、昨日も今日も惜しみなく咲いている。
   
花の長い方を口にくわえて、そっと吹くとピーと鳴った。
実をつぶして、中の白い粉を頬や鼻につけて遊んだものだった。
浴衣を着た母と、夕涼みをした光景が目に浮かんでくる。
   
     
花白粉子犬は風に跳ねどおし     あかね
  
(はなおしろいこいぬはかぜにはねどおし)

2009年8月18日火曜日

毬栗(いがぐり)


毬栗(いがぐり)が太ってきた。
丸く可愛いので、つい手に取ってみたくなる。
勿論、毬(いが)は棘のかたまりだ。
こころ成しかまだ柔らかい。
この時期の毬栗は、可憐にさえ思える色合いである。
   
毬栗の早くも裂けしうすみどり        あかね
  
(いがぐりのはやくもさけしうすみどり)

2009年8月15日土曜日

烏瓜の花(からすうり)

ウオーキングの途中、烏瓜の花に出会った。
白いレースのようだ。
秋には赤い実がいくつも連なって下がる。
手の平に乗せると、指を隠すほどに糸が広がった。
陽は落ちて、もうすぐ暗くなってくる。
お盆の迎え火の後の、黒くなっている藁灰が
家々の門にみられた。
 
烏瓜咲いて寂しき無人店     茜
 (からすうりさいてさびしきむじんてん) 

2009年8月14日金曜日

ままこのしりぬぐい


金平糖のような可愛い花だ。
誰が「継子のしりぬぐい」とつけたのだろう。
細い茎の棘は、根元に向かって立っており、鋭く
さわれない。
これと似た花に「みぞそば」がある。
群れて咲くみぞそばと違い、すねたように隅の方で
咲いている。
   
許されよこの名継子のしりぬぐい      あかね
  
(ゆるされよこのなままこのしりぬぐい)

2009年8月12日水曜日

木瓜の実(ぼけのみ)


無骨な実が重なりあっている。
スモモ大の木瓜(ぼけ)の実だ。
春に花がたくさん咲いていたが、こんな実になるとは。
瓜に似ていなくもないが、薔薇科の植物だ。
枝の棘が長くて鋭かった。
 
木瓜の実や地震に驚く事に慣れ       茜
(ぼけのみやないにおどろくことになれ)
暁の地震や台風圏なるぞ           々
  (あかつきのないやたいふうけんなるぞ)

2009年8月9日日曜日

ニラのチジミ

ニラを大量にもらった日は「ニラのチジミ」を作る。
作り方
1、ニラを洗い、ざくざくと切る。
2、ニラをボールに入れて 小麦粉 大さじ1 を入れかき混ぜる。
  それに次を入れる   塩胡椒 と 卵1個
   水は入れない!
3、混ぜたらフライパンに平らに敷いて焼く。
4、ひっくり返す。

E家から届く野菜は採れ立て、量の多い事、いつも感謝です。


炎天や工事現場の多国籍       茜

(えんてんやこうじげんばのたこくせき)

2009年8月7日金曜日

キツネノカミソリ

キツネノカミソリは ヒガンバナ科の花だ。
名の由来は、葉がカミソリに似ているからとか。
葉は5月ごろに出てもう枯れている。
写真をクリックすると大きくみえます。

この斜面はいつも手入れされているせいか、野生の花が
四季を通じて次々と咲いてくれる。
楽しみの斜面だ。 持ち主の方有難う。
   
   
郭公や野草は出番過たず     あかね

(かっこうややそうはでばんあやまたず)

2009年8月5日水曜日

紫陽花(あじさい)のリース

紫陽花(あじさい)のリースを作ってみました。
本当は10月頃の乾燥しきった紫陽花が適していますが。
蔓を束ねた輪に、テグスで巻きつけただけの
簡単なリースです。
すでに一部茶色になりかけていますが、これも又
枯れていく自然の美しさと思います。

褪せてなお咲く紫陽花でありにけり      あかね

(あせてなおさくあじさいでありにけり)

2009年8月1日土曜日

8月の紫陽花


庭の紫陽花を思い切って伐りました。
七変化の終焉の色となっている。
元のピンクは黄緑になり、赤く錆びた色に。
水色はくすんだ青色に。
毎年、この時期の紫陽花が楽しみになっている。
さっぱりとなった庭に糸トンボがきていた。
 
紫陽花の果てなむとして軽き色        あかね
 
 (あじさいのはてなむとしてかるきいろ)