2011年12月19日月曜日

年の暮(としのくれ)


 戸棚の中に10年眠っていた木の実。
何の木の実かわからないまま仕舞ってあった。
掃除をしていて見つけたものだ。
PCでいろいろ調べてやっと分かったのは、
「フタバガキ科」の木の実らしいということ。
熱帯にあるフタバガキ科の植物の代表的なものに
ラワンの樹がある。ベニヤ板に使うあのラワンだ。
高さ50~80mにもなる高木。
この羽根でヒラヒラと舞って降りてくるのだろう。
  
10年も前にタイ・マレーシアに旅行した事がある。
どうもその時に貰ったか、買ったか、拾ったかした
のだと思う。
記憶がないのである。
面白いものは貯めておく習性があるようだ。
   
   
     
    
 何の実と知らず大事に年の暮      茜
 (なにのみとしらずだいじにとしのくれ)
   
   
  
冬の季語;年の暮

2011年12月17日土曜日

寒落暉(かんらっき)


 鮮やかな夕焼けだった。
わずかの間だったが、何か起きそうな気がする程
鮮烈な光だった。
大山の頂上に当たって「チンダル現象」ともいう
べき影のような筋が出来ていた。
このような自然の前で人は時として不安にかられる
ようだ。明日という不確かな日が本当にくるのか。

冬の夕焼けは、普通弱々しく淡い色が多いが
雲に反射して強い光になったのだろう。
手前には漆黒の暗闇が迫っていた。
   

  
 寒落暉畏れる闇を深くせり       茜
 (かんらっきおそれるやみをふかくせり)
   
   
   
冬の季語;寒落暉

2011年12月16日金曜日

冬瓜(とうがん)


 冬瓜は秋の季語です。
寒くなった今も畑には取り残された冬瓜がゴロリと
横たわっている。
中は充分熟しているだろう。
友人に貰った冬瓜はずっしりと重く、直径24cm
長さ35cmもある大物だった。
粉を吹いたような皮には指の跡がついていた。
刃を入れようとしても、外皮は堅くなかなか切れ
ない。刃先を差し込むように入れテコの原理に
従って「エイッ」とばかりに刃を下ろすと、
ようやく切れた。
中の真っ白な果肉からは、透明な水が滲みでた。
種を包んでいるふわふわの所は、メロンに例えると
一番甘い部分である。
しかしこれは涙をのんで捨てよう。
肉厚の実を切り分けて、椎茸ともどし汁で煮る
ことにした。
   
   
  
 冬瓜を抱きかかえきし指の跡      茜
  
 やるせなき地震や冬瓜真二つに     茜
 (やるせなきないやとうがんまふたつに)
    
  
秋の季語;冬瓜

2011年12月13日火曜日

十二月


 横浜の夜景です。
日曜日とあって大変な賑わいでした。
赤レンガ倉庫街では、ドイツビールやポテト
暖かいスープ等がテントで売られていました。
クリスマスが近づいてくると、とたんに
華やかに賑やかになっていきます。
大勢の皆さんが楽しんでいました。
こうして活気付くのは良い事だと思います。
経済波及効果も上がる事でしょう。
まわりのホテルの窓の灯がちょっと寂しい
気がしました・・。
久しぶりにのんびりと夜の街をそぞろ歩き
したのでした。
   
   
   
   
 映る灯を波畳み込む十二月      茜
  
 着ぶくれて観覧車の灯見上げけり      茜
 (きぶくれてかんらんしゃのひみあげけり)
  
   
   
   
冬の季語;十二月、着ぶくれ

2011年12月12日月曜日

枯菊



 谷戸の夕暮れは何かを焚くことで始まる。
煙は横にたなびき谷戸を出ていこうとはしない。
遠くの煙を写してみると、炎が立ち上がったり
低くなったりしながら、煙の量も次第に多く
なっているようだ。
中にいる人は、棒の先で掻いているようだが、
時どき叩いているようでもある。
炎を調整しているのだろうか。
この後すぐに辺りは暗くなってしまうのだ。
  
   
   
  
 寄りし身に惑う煙や枯菊焚く      茜
 (よりしみにまどうけむりやかれぎくたく)

 新任の僧のジーンズ枯菊焚く      茜
   
   
   
冬の季語;枯菊

2011年12月10日土曜日

皆既月食


 夜 10:40 現在の月です。
真上に近い月は、ぶれてなかなか撮らしてくれ
ません。
それでも、月を隠していく地球の影がうっすらと
みえました。
皆さんはごらんになりましたでしょうか。
   
   
   
  
 ほの赤き地球の影や冬の月      茜
   
 まなうらの今観し月と眠りけり    茜
  
 皆既月食手に図解して凍てほぐす   茜
 (皆既げっしょくてにずかいしていてほぐす) 
  
  
冬の季語;冬の月

2011年12月9日金曜日

寒さ


 幼い頃、姉と話したことがある。
「花嫁さんになるときは危ない仕事の人とはやめ
ようね。」
夜火事のサイレンが鳴り響き、風の強いこの夜を
命がけで助けに向かっている人がいる。
台風がきて一番激しく吹き荒れる頃、電線の切れた
危険なところへ出向く人達がいる。
   
お父さんがその危険な仕事に出て行く家族の
心細さを想ったのだろう。
幼いなりに、その仕事の大変さをわかっていたのだ。
今でもその大変さに変わりはないのだ。
  
高い鉄塔に、上がり下がりしながら作業をしている
人達がいた。
電線を伝って進んでいる人もいた。
目眩がしそうな光景だった。
安全第一お願いします。
   
   
   
 鉄塔に人動きいる寒さかな       茜
 (てっとうにひとうごきいるさむさかな)
   
   
   
冬の季語;寒さ

2011年12月6日火曜日

切干(きりぼし)


 大根の美味しい季節です。
まず、太い中ほどをふろふき大根やおでんの種と
して煮込みに使います。
その時に剥いた皮と残りの大根は、短冊に切って
干します。
小春日和の風の無い今頃は、3日位干すと程よく
しなびて、少し柔らかさが残っています。
それを食べやすい大きさに切り、砂糖、醤油、酢、
味醂に漬けます(火を通して酢を飛ばしてもよい)
飴色になった漬物は、良い箸休めになっています。
    
   
   
 切干や屋根の傾斜のゆるやかに     茜
 (きりぼしややねのけいしゃのゆるやかに)
   
   
  
冬の季語;切干

2011年12月4日日曜日

冬ざれ、時雨(しぐれ)


      (雨のあがった競艇場)    
 朝から雨が降り続いていた。
句会はウオターフロントにあるビルの22階で
始まった。
雨の為吟行に出ることが出来ず、見た景色の
嘱目吟という事になった。
展望の良い窓から見る街は雨で煙っていたが、
初冬の静かな感じがありいいものだった。
眼下に「競艇場」があり、海水を引き込んだ
このコースは休みの日でひっそりとしていた。
午後から晴れるとスカイツリーもくっきり見え
会は佳境に入った。

持参の「ひょんの笛」を、素敵な句にはお祝いに
遅い方には励ましにと、合いの手のごとく吹いた。
こんな事が許される愉快な句会なのである。
   
   
   
   
 冬ざれや競艇場の吹流し      茜   
 (冬ざれやきょうていじょうのふきながし)
  
 時雨るるや高さ失うビルの街    茜
 (しぐるるやたかさうしなうびるのまち)
   
   
   
冬の季語;冬ざれ、時雨(しぐれ)

2011年11月30日水曜日

枯木





 くぬぎ林の一年を撮ってみました。
一番上 11月30日
二番目 夏
三番目 早春
四番目 冬
  
いつの間にか季節は移っています。
明るい冬の林、新芽の優しい春、鬱蒼とした夏の
茂り、枯葉の重なっていく秋の林へと
変わっていました。
秋になると枯枝を根元へ集めて積むのは
何故でしょう。
害虫の温床にならないのでしょうか。
いつも謎に思っています。
どなたか教えてください。
   
   
   
 明るくて枯木の根元曝される      茜
 (あかるくてかれきのねもとさらされる)
    
   
   
冬の季語;枯木

2011年11月28日月曜日

蓑虫


 蓑虫は、ミノガ科の蛾の幼虫です。
バラ科やカキノキ科の葉を食べて育ち、枯葉や
枯枝に粘性の糸を絡め袋状の巣を作り、
あたかも蓑を纏っているかのような姿をしている。
雄は成虫になると巣を離れるが、雌は成虫でも
一生巣から離れないという。
   
この蓑虫は道端に落ちていました。
誰かが取ってはみたものの、飽きてしまったの
でしょう。
中ほどをそっとつまんでみると、弾力のある
虫の腹が感じられました。。
しばらく手に乗せていましたが、草むらへ
返しておきました。
動植物の一生はどこかしら似ていて、哀れでも
あります。
     
   
     
 蓑虫の蓑を通して柔らかし      茜

蓑虫の鼓動が風に揺れている     茜
    
    
   
秋の季語;蓑虫(みのむし)

2011年11月25日金曜日

茶の花


 お寺の門前に「山門不幸」と書かれた白木の札が
立っていた。
どういう意味なのか解らないまましばらく経って
(さんもんふこう)と読み、その寺の住職が亡く
なった事を知らせる言葉だと知った。
   
春の枝垂れ桜が美しいこの寺は、散歩の途中の
目印でもあり私達の休憩所でもあった。
ある日庭を掃いている方に声を掛けて、話している
うちにお坊さんだとわかりました。
前のお坊さんにはお目に掛かかる事もなく、
新しいお坊さんとお話したのでした。
お寺の角の茶の木に、灯りのような花が咲いて
いました。
   
   
   
 茶の花や新任の僧ジーンズで       茜
 (ちゃのはなやしんにんのそうじーんずで)
   
   
冬の季語;茶の花

2011年11月22日火曜日

生姜(しょうが)



 毎年この時期に生姜を干しています。
お茶に入れたり、スープに入れたり、生より干した
方が効くと聞いたからです。
身体を暖める効果があるとか。
   
野菜を干して料理に使うのは、生姜だけではあり
ません。
大根は切干にして漬物に。
白菜は干してフライパンで焼き、
人参もさっと干すと甘さ倍増、
洗った里芋を干してから剥くと痒みがない。  
天の恵みを味付けに。
   
   
 カリカリと星に水欲る干し生姜    茜
 (かりかりとほしにみずほるほししょうが)
   
    
 生姜干す皮尖るまで空澄めり     茜
 (しょうがほすかわとがるまでそらすめり)
   
   
   
秋の季語;生姜

2011年11月20日日曜日

返り花


 時期はずれにさいている花を返り花といいます。
桜、梨、桃、杏、山吹、つつじ、菖蒲など、
ひでりや、台風で樹木に影響があった年に多い
ようです。
散歩の途中で見かけたこの花は何の花でしょうか。
樹の一枝に花を付けていました。
葉の様子から杏か桃かもしれません。
いつから咲いていたのか、
気がつきませんでした。
ひっそりと咲いて、ひっそりと散っていくのでし
ょうか。
   
   
   
 人声に仄とかがやく返り花       茜
 (ひとごえにほのとかがやくかえりばな)
   
   
   
冬の季語;返り花、帰り花、二度咲き

2011年11月17日木曜日

ノルディック ウオーキング


 ノルディック ウオーキングへ参加しました。
二本のポールを使って歩くのです。
初めての経験でしたが、歩くうちにポールを使う
のにも慣れてきて、ポールが自分の体を前へ
押し出すようになると面白くなってきました。
運動量は普段の歩行の1.5倍、体の筋肉の90%を
使い、膝・関節への負担が少ない、と良い事づくめ
のようです。
ポールのお陰で坂道も不思議と難なく歩けました。
  
良く晴れてどこまでも澄み渡り、江ノ島は勿論、
遠く都心のスカイツリーまで見えました。
落ちたばかりの朴落葉を、音をたてて踏んで
行きました。
   
   
   
  
 江ノ島へ木霊す冬の阿夫利山      茜
 (えのしまへこだますふゆのあぶりやま)
   
       
冬の季語;冬の山

2011年11月15日火曜日

牛蒡(ごぼう)


 いただき物です。
牛蒡の大きいこと、直径4,5センチもありました
掘り立ての牛蒡には、中心によくあるふかふかした
所は無くて、ずっしりと詰まっていました。
削ぎ切りにして、お揚げと豚肉で炒め煮に。
柔らかく、あんなに大きく無骨だった牛蒡の
やさしい歯ざわりに満足。
春菊のお浸しを添えて、
今日も感謝の夕餉でした。
   
   
   
 冷えてきし床の硬さを踏みにけり     茜
 (ひえてきしゆかのかたさをふみにけり)
   
   
   

秋の季語;牛蒡掘る、冷え

2011年11月11日金曜日

霧



 志賀高原の白樺黄葉はもう終わって、白い幹の林
になっていた。
時折濃い霧に覆われてしまい、その中を車で進む
のは危険だったので、途中のレストランで休む事
にした。
牧場に隣接していて、厩舎から馬が覗いている。
久しぶりに馬を見たような気がする。
馬もじっと見返した。少し歳をとっているようだ。
きっと観光の子供さんを乗せているのだろうと
思った。
   
   
   
 
 柵へ来て馬の嘶く霧の中        茜
 (さくへきてうまのいななくきりのなか)

 その中の一条白し初時雨        茜
 (そのなかのひとすじしろしはつしぐれ) 

秋の季語;霧   冬の季語;初時雨

2011年11月8日火曜日

酢橘(すだち) 檸檬(れもん)


 真ん中の黄色がカボス、柿、小さな緑は酢橘
(すだち)のようですがライムレモンと書いて
いました。
この近辺で手に入れた果物達です。
料理にさっと絞るだけで新しい味になります。
どちらも爽やかな香りが気分をよくします。
全部飾って楽しく、豊かな気分に。
   
   
   
   
 青空が胸に広がる檸檬の香      茜
 (あおぞらがむねにひろがるれもんのか)
   
   
秋の季語;檸檬(れもん)、酢橘(すだち)

2011年11月5日土曜日

棗の実の使い方


 棗の実を拾いました。
以前から気になっていたのです。この辺りの
畑や庭先に良く見かけるのに、食べ方を誰も
知らないのでした。
熟れきった実の中は空洞があり踏むと音をたてます。

「テレビで観た使い方」
 棗の実を種から外して刻み、種と共に煮出すと
 甘い紅茶色の飲み物に。気持ちを落ち着ける
 効果があるそうです。
 他にスープに入れるのは良くやっています。

左の白い髭のあるのは「朝鮮人参」です。
草津への途中で見つけました。
  
   
 
 ポムポムと破音に踏まれ熟れ棗     茜
 (ぽむぽむとはおんにふまれうれなつめ)
   
  
  
秋の季語;棗

2011年11月2日水曜日

秋の虹


 草津温泉をとりまく山々は、唐松の黄葉で
黄金色に輝いていた。
森に入って歩くと、なんとも言えない樹脂の
匂いで心地良かった。
ときおり降る日照雨(そばえ)に、照り翳りが
速く、雲の形の影が走るのがわかった。
ふと見ると
唐松の森から虹が立っている。
森の明るさから昇っているかのように
いつまでも消えなかった。
   
   
   
   
 谺して谷深めゆく秋の虹       あかね
 (こだましてたにふかめゆくあきのにじ)
    
 すり鉢の底の湯の町鳥渡る      あかね
 〈すりばちのそこのゆのまちとりわたる)  

   
秋の季語;秋虹、鳥渡る