2011年10月14日金曜日

蕎麦の花


 蕎麦の花はやさしい色をしている。
乾燥した土地や痩せた土地などでも栽培できる。
種まきから2、3ヶ月程で収穫できることから
救荒作物としても重宝されてきたようだ。
   
この豚小屋は、何百頭も飼われている工場のような
所である。
時折、物凄い豚の鳴き声が悲鳴のように聞こえる。
餌をもらう時間なのだろうか。
売られていく時間なのだろうか。
   
   
   
 豚鳴くや慈愛の色の蕎麦の花      茜
 (ぶたなくやじあいのいろのそばのはな)
   
   
  
秋の季語;蕎麦の花

2011年10月11日火曜日

ヒヨドリジョウゴの実


 9月24日に花を載せましたが、実がつき色づき
ました。
赤い実は、「液果」といってつぶすと赤い汁がで
ます。
ほおづきもこの種類でしょうね。
毒性の実ということで、潰したあとは手を洗いました。
下の方には「アカマンマ」といわれる「たでの花」が
咲いていました。
秋の草花は実をつけながら、きれいです。
     
      
      
 同じ道通りしきし犬いのこずち     茜
    
         
 満月は正面の顔草濡れて        茜
 (まんげつはしょうめんのかおくさぬれて)
   
   
  
秋の季語;月、いのこずち

2011年10月8日土曜日

ひょんの実


 「蚊母樹」(イスノキ)と読める方はあまり
居ないでしょう。
このイスノキの葉にアブラムシ等が巣食い、
虫瘤を作り大きくなったものが「ひょんの実」と
呼ばれています。
この大きな方の実には穴があいていますが、中の
虫が出ていった跡のようです。
穴に口をつけて吹くと「ホーホー」「ヒョー」
と懐かしい音がしました。
ここから「ひょんの実」「ひょんの樹」とも呼ばれ
ているようです。
   
  
      
  
 ひょんの実を吹くや何かが目覚めたる   茜
 (ひょんのみをふくやなにかがめざめたる)
   
   
  
秋の季語;ひょんの実、ひょん

2011年10月4日火曜日

ピクルス


<コメントが入らなくなっています。
<良かったらメールにて送ってください。
<こちらへ掲載させていただきます。
   
カリフラワーと人参のピクルスです。
酢に、にんにく、フェンネルの種と花、月桂樹の葉
だけの味付けです。
そのまま食べると酸っぱいのですが
これを牛肉や豚肉と一緒に炒めるとグッドです。
  
ポルトガルの食堂で食べた味を再現しました。
外食して気に入ったメニューは我が家で作ってみま
す。これもその一つです。
酢も一緒に加えると、あっさりとして肉の旨みを
引き立てます。
   
   
   
 ふいに子の来てのひととき後の月     茜
 (ふいにこのきてのひとときのちのつき)  
   
     
   
秋の季語;後の月(十三夜)

2011年10月1日土曜日

野葡萄(のぶどう)


 俳句の季語には、山葡萄、野葡萄は同じに分類
されているが、植物としては違うものだ。
山葡萄は食べられるが、野葡萄は食べられない。
虫と野鳥にまかせておきましょう。
   
わたしがよく歩いている里山は、特別な名前等
ついていない、丘のような場所だ。
手入れもあまりされていない所は、決まって
竹が雑草のごとく繁っていたり、倒れた木や草が
そのままだったりする。
だからこそ、なのか、山葡萄や野葡萄、オニドコロ、
ヒヨドリジョウゴといった珍しい草花に会う事が
できる。
   
   
   
  
 野葡萄や裏山という呼ばれよう      茜
 (のぶどうやうらやまというよばれよう)
   
   
秋の季語;野葡萄 

2011年9月29日木曜日

山女(ヤマメ)、岩魚(イワナ)


 朝暗いうちから夫は釣りに出かけていった。
9月30日で禁漁になってしまうので、落ち着かな
い様子だった。
わたしも又、イワナやヤマメを食べるのを楽しみに
している。
以前付いて行った時、その清流の中に魚を
見つけるのは容易ではなかった。
夫はちょっとした石の陰や砂の上の魚をよく見分け
るので感心したものだった。
小さな滝の渦巻く水の中から、釣り上げた時の
喜びはそばに居てもドキドキする程だった。
   
清流にしか棲まないイワナやヤマメは、その体も
冷たく人間が触れると火傷をする位、傷つくのだそ
うだ。中には針を飲み込んでしまう魚もいて、大体
の魚は持ち帰る事にしている。
表面はウナギに匹敵する程のぬめりがある。
写真一番上はイワナです。
     
  
  
 空中に岩魚跳ねたる鰭のあと    茜
 (くうちゅうにいわなはねたるひれのあと)

山影を秘めし岩魚のぬめりかな   茜
       
 見入りおり岩魚の歯型親指に    茜    
 (みいりおりいわなのはがたおやゆびに)
   
     
夏の季語;山女、岩魚

2011年9月26日月曜日

稲穂


 台風にも負けず稲穂は健在だった。
ところどころ稲が倒れている田もあったが、水には
浸かっていないようだった。
田の間を歩いていると、稲の匂いに包まれる。
熟れた稲の豊穣たる香り、風に乗せていっせいに
放たれるようだ。
手入れの行き届いた田と畦道、早くから刈り込まれ
た土手は、彼岸花が満開だった。
大山から続いている街道も満開だった。
   


  風が来て重さ生まれし稲穂かな     茜

  
  畦道も巡礼峠も曼珠沙華        茜
   
    
   
秋の季語;稲穂、曼珠沙華

2011年9月24日土曜日

紫ヒヨドリジョウゴ  


 「すみませーん」と叫びながら、自転車が
猛スピードで私達を追い抜いて行った。
その後をついて駆け抜ける集団があった。
疾走ともいえる走り方だった。
田んぼの周りは格好の練習コースなのだろう。 
近くの大学の学生達だと思うが、
その真剣な顔つきとスピードは、練習風景とは
言えないようだった。大事な記録を取るのだろうか。
      
一周してきて次に会った時には、その集団は
ばらけていて、もはや先頭がどの人なのか判らなく
なっていた。
速度のあるあの人が先頭なのだろうと思いながら
見ていた。
必死だろう一人一人の間が開き、やがて最後の
人が前のめりになりながら走って来た。
がんばれーと小さく口の中で言い応援した。    
ヒヨドリジョウゴの紫が道端で揺れていた。
   
   
  
 しんがりは一人で走る草の花       茜
   
   
  
秋の季語;草の花

2011年9月20日火曜日

富士山  秋簾(あきすだれ)


 予約していた新宿高層ビルのレストラン。
早目に着くと日はまだ山の上らしく、眩しくて
富士山はうっすらと雲の一部のようにしか見え
なかった。
やがて、日が沈み逆光となり、富士山は黒く
くっきりと姿を鮮明にした。
手前の新宿まで続く空間が暗くなると
みるみる大きくせり出してくるように見えた。
刻一刻と空の色は変わり、オレンジから紫となり
急に暗くなっていった。
   
   
   
  
 暮れてより富士の近づく秋彼岸     茜
 (くれてよりふじのちかづくあきひがん)
   
   
  
秋の季語;秋簾

2011年9月17日土曜日

韮の花(ニラのはな)


 韮の花が満開です。
茄子の上の白い花が韮の花です。
この花を食べられる事はあまり知られていない。
咲いたばかりの花を摘みとって
さっと湯に通すと、ほのかな韮の香りの
歯ざわりの良いお浸しになる。
ひとつまみの花でも充分。
庭先に一列だけ植えている韮から摘んで。

写真は煮浸しのお汁をかけるのを忘れました。
だから、何か物足りないでしょう。
   
   
   
 門までを猫のすり寄る韮の花      茜
    
   
  
秋の季語;韮の花(にらのはな)   
春の季語;韮(にら)

2011年9月15日木曜日

オニドコロ


 まだ暑いうちから、すだれのように花が下がって
いた。
ようやく実が出来始めて「オニドコロ」とわかった。
ヤマノイモ科の多年植物である。
トコロとは、「野老」と書き、根がヒゲににている
事からきているようだ。
他にも、人に例えて名を付けているのは
「センニンソウ」老人のヒゲに似ているからという。
   
この里山では朝夕少し涼しくなったように思う。
でも、蚊は相変わらずしつこく寄ってくる。
あちこち刺されながら撮った。
  
   
   
  
 止まればすぐに秋の蚊オニドコロ      茜
 (とどまればすぐにあきのかオニドコロ)
  
   
   
秋の季語;秋の蚊

2011年9月12日月曜日

中秋の名月


 今日は中秋の名月がみられます。
満月と中秋が重なり、お天気も上々。
お月見といってもその辺を一回りするくらいですが。
  
稲はもう豊かにみのり、刈られる日を待っています。
水を抜いてある田んぼと水がまだ満ちている田んぼ
がありました。田植えの時期が少しづれているので
しょう。
彼岸花も咲き始めました。
つぼみの硬いのは、まだ赤も強くないですね。
  
  
  
 
  まなうらの今見し月と眠りけり     茜
    
    
   
秋の季語;月

2011年9月10日土曜日

露草


 久しぶりに渓流のある所まで車で行きました。
釣りをする夫は雨の後のささ濁りが好きらしい。
もう3日前に台風は過ぎ去ったのに
渓流の水はまだ濁っていた。
あちこち竿を入れていたが、まったく釣れなかった。
と言っても、わずか20分程度だから遊びの
ようなものだ。
私はその間、草花の写真を撮っていた。
草の中に深入りをするとヒルがいるので危ない。
道端の「露草」の青が美しくアップで撮りましたが、
難しいです。
   
   
   
 露草の青を深めり水の音      茜
   
    
   
秋の季語;露草

2011年9月8日木曜日

葛の花(くずのはな)


 葛の繁殖力はもの凄い。
あっという間にその辺を覆い尽くす。
花の香りは強く化粧臭いという感じだ。
   
福島県の原発事故で、避難を余儀なくされた
方々には本当にお気の毒でなりません。
放射能で汚染された土地がよみがえり、
又普通に暮らせる日々が戻るのでしょうか。
テレビでは、人の住めなくなった町や村が
映し出されていた。
民家の庭は葛の蔓が広がり、戸口まで迫っていた。
コンクリートの道路も両端から蔓の先が伸びていた。
恐ろしい光景だった。
      
   
   
 村あげて避難した道葛の花      茜
 (むらあげてひなんしたみちくずのはな)
   
   
  
秋の季語;葛

2011年9月6日火曜日

稲、稲の花


 今は稲が垂れるほどに実ってきました。
この写真は1箇月前のもので、白い稲の花が
ついています。
毎日変化する自然は、その時どきの一番美しい姿
を見せてくれます。
稲の花が咲き、やがて稲がしっかりと結実すると
田の水を抜き、干された土で実りを育て始めます。
頼りなかった早苗の頃から見守ってきた者にとって
これから、台風等で倒れないように、刈り入れの時
まであと少し頑張ってと願っています。
   
   
   
 どの道も川に沿いくる稲の花      茜
 (どのみちもかわにそいくるいねのはな)
   
    
   
秋の季語;稲、稲の花

2011年9月3日土曜日

世界陸上 天高し


 玉虫を又拾いました。
大映しにしてみると、表面のぶつぶつを発見。
この突起の反射でこの微妙な色が出るのかも
しれませんね。
  
世界陸上を観ていると、どの競技も感動します。
ハンマー投げ、槍投げ、高飛び、短距離、マラソン
どの選手も美しい、しなやかで強靭な身体、
限界まで力を出し尽くすという気迫。
  
玉虫の句は7月19日に作っていますので
世界陸上の句を載せます。気迫が足りないかな。
   
   
    
 玉虫の己が死知らぬ色あわれ        茜  
    
 秋天へハンマー投げの哮りけり       茜
 (しゅうてんへはんまーなげのたけりけり)  
   
 高飛びの身を反らしたる秋の天       茜
 (たかとびのみをそらしたるあきのてん)
   
 ランナーの掠る風さえ秋の色        茜
 (らんなーのかするかぜさえあきのいろ)
   
   
  
秋の季語;天高し、秋天、

2011年9月1日木曜日

金魚


 金魚が泳いでいるように見えないだろうか。
寒天液を多めにした「寒天寄せ」です。
トマトの赤を金魚に見立てました。
フェンネルの葉を水草と思って。
  
金魚すくいで、金魚を紙のポイで追い詰め
すくった時、金魚はポイの上で横倒しになり空気に触れます。
そして、あきらめの目を空に向けます。
  
ときには金魚の気持ちになって・・・
   
   
   
  
 すくわれし金魚一瞬空を見る      茜
 (すくわれしきんぎょいっしゅんそらをみる)
   
   
  
夏の季語;金魚

2011年8月30日火曜日

秋めく


 通りがかりに見つけた葡萄。
駐車場のフェンスに絡まっていた。
そっと葉を上げるとこんなに熟れている。
植えた人は忘れているのかしら。
爽やかな色が美しい。
小鳥もまだ見つけていないらしい。
ああ・・気になるなあ。
   
   
   
  
 秋めくや凌ぎやすさを挨拶に       茜
 (あきめくやしのぎやすさをあいさつに)
   
   
  
秋の季語;秋めく

2011年8月28日日曜日

夏料理


 野菜の寒天寄せを作りました。
材料は、できるだけ詰め込み、浮き上がらない
ようにしましたが、それが失敗のもと。
最後に入れた「くらかけ豆」が溢れて崩れてしまいました。
オクラ、トマト、パプリカ、ネギ、セロリ、茗荷
カニ缶、くらかけ豆 が入っています。
寒天をスープの素で味つけて、並べたあとから
流しいれました。
ちょっと崩れて残念。
   
   
   
 
 ひと皿の余白は渚夏料理       茜
 (ひとさらのよはくはなぎさなつりょうり)
   
   
  
夏の季語;夏料理 

2011年8月25日木曜日

穂草の実(ほくさのみ)


 山を歩いていると、思いがけない物に出会う
事がある。
この切り株もハートの形になっていて面白い。
置いた人も、そう思って置いたに違いない。
切り株の上の、紐のような花殻は、きっと木の花
だろうと思う。
すこし涼しいこの辺りの、里山ではとうに散って
しまった「きぶしの花」のようにも見える。
それとも「スダジイ」の花殻だろうか。
木陰でしばし休んで、又歩いた。
   
句には草の実として詠みました。
   
  
   
 切り株に風の置きたる穂草の実      茜
 
 切り株のハートの形小鳥来る       茜
     
   
   
秋の季語;穂草の実、小鳥来る   

2011年8月22日月曜日

秋蝶(あきちょう)


      (アカボシゴマダラチョウ)
 何という蝶だろうか。
暑い日の夕方、庭に水を撒いている時に気づいた。
土の色に似て地味な色だった。
ゆっくりと翅を開いたり閉じたりして水を吸っていた。
口吻というのだろうか、舌のような黄色の管を
伸ばして、せわしなくその先を動かしていた。
  
翅の端はちぎれてギザギザになり、傷ついている。
10cmほどまでカメラを近づけても逃げない。
よろよろと移動しては水を吸う。
そんなに喉が乾いているのか、遠くから旅してきたのか。
聞いてみたい気がした。
次の朝にはもう姿は見えなかった。
    
   
   
 秋蝶の吹かれて来しか水を吸う   茜

 秋蝶の水吸う野辺や旅の果て    茜
    
   
   
秋の季語;秋蝶

2011年8月19日金曜日

トマトのかき氷


 トマトを1個冷凍庫に入れておき凍らせます。
コチコチに凍ったトマトを大根おろし器で
すりおろすだけです。
砂糖をふりかけて
ブルーベリーをトッピングしました。
テレビで観たアイデアは即いただきです。
  
口に入れるとすぐ溶けてしまい、
ほのかな甘味がイケマス。
お試しあれ。
   
   
  
   
 意気込みの崩るは速しかき氷      茜
 (いきごみのくずるははやしかきごおり)
   
 流すだけ流せば汗の涼しかり      茜
     

   
夏の季語;かき氷、汗、涼しい

2011年8月17日水曜日

キツネノカミソリ


 草を刈った斜面は「キツネノカミソリ」が群生
していた。彼岸花科。半日陰に咲く。
春、カミソリに似た長い葉を繁らせて、あおあおと
した土手だったが、今はこの花で夕日の色に
染まっている。
  
花の咲く場所をだいたい把握しているので、時期が
来ると、見にいかずにはおれない。
散歩も目標地があると、歩も軽やかになる。
だから、今日は「キツネノカミソリ」まで来たのだ。
   
   
   
 刈草の匂うキツネノカミソリよ     茜
  
 
   
   
秋の季語;キツネノカミソリ

2011年8月13日土曜日

水遊び


 石を丸く積んでいた。
こうして置くと隙間から魚が入り、出る時には
あわててすぐには出れないのだそうだ。
・・と聞いたことがある。
子供達は飽きたのか、離れた所で魚釣りを
始めていた。
   
子供時代はすぐに終わる。
暑い日の盛りでもいとわないで走りまわり、
汗しても気にならなかった頃、
水辺での遊びは事のほか楽しかった。
川の水が入らないように、岸辺に石を積んで
小さな囲いを作っても、水はどこからともなく
入ってくるのだ。
小さな小エビを入れていても増えてくる水と共に
どこかへ消えてしまうのだった。
懐かしい石を積んで作った輪、きれいな輪に
しばらくみとれていた。
   
   
      
 石積んで水に抗う水遊び      茜
 (いしつんでみずにあらがうみずあそび)
    
 自転車を草に投げ出し水遊び    茜
   
  
夏の季語;水遊び、夏休み

2011年8月10日水曜日

端居(はしい)


 ブルーベリーの木が2mを超えている。
庭の隅に植えて10年以上も経つと、実も大きく
なったような気がする。
1週間採るのを忘れていたら、一度でこんなにとれた。
両手に余るほどの収穫だ。
夕方通りかかった友人を招いて、一緒に摘んだ。
摘みながら食べてしまう。
1cm程の小さな粒は、きりなく食べられる。
  
ものの本によると、株立ちの中の古くなった木は
切り捨てた方が新しい芽がでてくるから良いと
書いてあったけれど、まだその気にはなれない。
   
   
      
   
 ブルーベリー手に分け合える夕端居     茜
 (ぶるーべりーてにわけあえるゆうはしい)
 
  手を握る安らぎのあり生身魂        茜
 (てをにぎるやすらぎのありいきみたま)
   
   
 
夏の季語;端居(家の縁先に座る事)、生身魂

2011年8月6日土曜日

木下闇(こしたやみ)


 前日の雨で小径は湿っていた。
敷き詰められた木っ端が、たっぷりと水を吸い
ふかふかと湿っていた。
この森の中の本筋の道は、木っ端で明るい色
だったが横の獣道に入ると、とたんに暗くて細い
でこぼこ道となった。
脇から伸びている枝を払い、落ちている木を跨ぎ
ながら進んだ。
すると、いつの間にか元の明るい小径に戻って
くるのだった。
珍しい草、茸、詳しく見ていると進まない。
ゆっくりと歩いて森林浴を楽しんだ。   
   
   
     
   
 行くほどに水の匂いの木下闇     茜
  
 鳥になり風にもなりし森林浴     茜
  
  
  
夏の季語;木下闇、森林浴

2011年7月31日日曜日

花萱草(はなかんぞう)



 青田となって水は忙しい。
水路は田を縦横に走っている。
苗も丈が伸び、分蘖(ぶんけつ)が始まっている。
分蘖とは、根を張り、根に近い方から枝分かれして
いく事である。
一株が太く、本数が増えているのだ。
この時期は草取りも大変らしい。
苗の列の間に入って、ヒエや雑草を取っていた。
いつもの土手は、萱草の花が盛りで
そこだけ残して刈られていた。
  
   
  
 夏草の影を叩いて水奔る      茜
 (なつくさのかげをたたいてみずはしる)
   
   
 花萱草田にワイシャツの人動く   茜
 (はなかんぞうたにワイシャツのひとうごく)
 

夏の季語;花萱草、夏草

2011年7月28日木曜日

炎暑


 久しぶりに俳句仲間と会った。
場所設定をしてくださった方のお陰で
洋上レストランなる所で句会をする事ができた。
   
確かに海の上で、静かに絶えず揺れていた。
180度見渡せる窓からは、
遠くにベイブリッジが見え、その間を観光船が何艘も
行き来していた。その船着場もこのレストランに
隣接しているのだった。
是非また来たいと思った。
   
日本丸は文部省の航海練習帆船で、今はビルの前に
停めて博物館になっている。
   
   
 
 日本丸街に炎暑の綱緩む       あかね
 (にほんまるまちにえんしょのつなゆるむ)

   
 ベイブリッジの点滅あえか夏霞    あかね
 
  
 
夏の季語;炎暑、夏霞

2011年7月24日日曜日

煙の木(スモークツリー)


 ただ座っているだけで汗ばんでくる。
朝は涼しいと感じたが、午後からはそうはいかなかった。

散歩の途中で観る「煙の木」はふわふわとして
遠目には煙のように見える。
葉の色が赤と緑の種類があるようだ。
この家の様子はわからないけれど
煙の木がお洒落な佇まいを彩っている。
   
   
   
   
 風死して吐息の如き煙の木     茜
 (かぜししてといきのごときけむりのき)
   
   
夏の季語;風死す

2011年7月19日火曜日

玉虫


 遠回りの散歩をしていると、いろいろ
落ちているのをみつける。
何の実だろうと思いながら拾ってしまう。
どんぐりまでは分かる。
丸いのはサルナシの実?だろうか。

玉虫の翅は、死んでも色を失わないようだ。
生きている時と同じような色だが死んでいるのだ。
箪笥の中に入れておくと着物が増えるという俗信が
ある。法隆寺の玉虫厨子にはこの翅が用いられている。

      
    
 玉虫の己が死知らぬ色あわれ        茜
 (たまむしのおのがししらぬいろあわれ)
      
 玉虫の死を受け入れぬ色として       茜
 (たまむしのしをうけいれぬいろとして)
     
   
  
夏の季語;玉虫

2011年7月15日金曜日

楊梅(やまもも)、山桃


 楊梅(やまもも)は暖地の山地に自生するそう
ですが、樹形がいいので庭木にもされています。
一枝いただきました。
バス通りの歩道に1cm位の実がポトリポトリと
落ちているのが目につきます。

実は甘酸っぱくて、種に付いている実を歯でこそげ
るようにして食べます。
ほのかに針葉樹のような香り。
幼い頃に食べた懐かしい味。

これを「果実酒」にしましょう。
ワインレッドの楊梅酒ができるでしょう。

  
 
  故郷の山の匂いよ楊梅は     茜
  (ふるさとのやまのにおいよやまももは)

やまももと知らずに踏みて人通る 茜
   
  道ふさぐ蛇の屍まわれ右     茜
  (みちふさぐへびのしかばねまわれみぎ)  
   
   
   
   
夏の季語;楊梅

2011年7月10日日曜日

茄子(なす)


 輝くばかりの茄子です。
ご近所の友人が採ったばかりの茄子を
自転車で届けてくれました。
 
さっそく紫蘇と塩揉みにしました。
いつもあちこちから頂く野菜はどれも新鮮そのもの、
切り口がまだ濡れています。
じゃがいもは、皮が洗っただけで剥けてしまいます。
いずれも家庭菜園で収穫した野菜ばかりなのです。
ありがたい事です。
   
   
   
 摘み取りし両手の茄子のキシと鳴く     茜
  
   
  
夏の季語;茄子

2011年7月4日月曜日

泰山木の花(たいざんぼくのはな)


 小学校の裏門に咲いていた。
大きな花は、ちょうど数え易いかのようにまばらに
咲いている。
日を溜めて、白く輝く高貴な雰囲気がする花だ。
葉は艷があり、朴の花と見分けやすい。
花の写真を撮った後は、あまり気に止めないので、
この花が崩れるように散るのか、ある日突然落ちる
のか、まだ知らない。
   
   
    
  泰山木花の見下ろす登校児    茜
  (たいざんぼくはなのみおろすとうこうじ) 
    
  葉は雨を払う泰山木の花      茜
  (ははあめをはらうたいざんぼくのはな)
   
   
  
夏の季語;泰山木の花

2011年6月30日木曜日

翡翠(かわせみ、ひすい)


    (嘴の黒い雄、 下嘴の赤いのは雌)
 翡翠(かわせみ)はしばらく動かなかった。
この川をテリトリーとして下流から上流へ
又逆方向へと飛ぶのを止めない。
その翡翠が、川の曲がり角の土手に休んでいたのだ。
大きな目には何が映っているのだろう。
一年を通して見られる鳥だが、色の涼しさから
夏の季語とされるようだ。

川幅2m、水嵩50cm程の小川をこの世と
忙しく飛び回っているのだ。
私の動体視力では追うことは出来ない。
今日はどこに出没しているだろう。
  
  
  
 翡翠の飛ぶや光となりにけり     茜
 (かわせみのとぶやひかりとなりにけり)
    
 翡翠や風も日も澄む山暮らし     茜
  
  
夏の季語;翡翠(かわせみ、ひすい)

2011年6月27日月曜日

早苗田(さなえだ)



 田植えのすっかり終わった峡(かい)は
湿気か水蒸気のようなものに満ちていた。
空気がすでに濡れているのだ。
降りそうで降らない天気は、向こうの山々を
煙らせていた。
梅雨霞という季語がありそうに思った。
  
畦の花は「イヌゴマ」です。(絶滅危惧種)
年配の方が作っていらした田んぼでしたが、とうとう
今年は作られませんでした。草が繁ってしまった
田の畦に咲いていました。
   
   
   
 峡一つ濡らしていたる植田かな    茜
  
 苗の列我が田のごとく眺めけり    茜
  
 早苗田へ音を消しつつ入る水     茜
  
  
  
夏の季語;早苗田

2011年6月24日金曜日

ジャカランタの花


 ジャカランタの花です。
リスボンのある街道の並木となっていました。
10Mあるような高い樹から、まだ3Mの若い樹も
ありました。
しばらく佇っていると、甘い香りが降りてきて
散った花を拾いました。
以前最初にこの樹を見た時の感動が今もあり、
紫の塊に見える房咲きのジャカランタの
樹を見つけるとうれしくなりました。
   
   
   
 ジャカランタ咲いて日除けを伸ばしけり   茜
 (じゃからんたさいてひよけをのばしけり)
   
   
夏の季語;日除け

2011年6月21日火曜日

素足(すあし)


 街角で見たドイツのパン屋さん。
噛みごたえありそうな、大きい黒いパン。
柔らかい食パンに慣れている私達にとって
手ごわい感じ、酵母の匂いも違います。
   
旅を終えて帰国しました。
庭は草茂り、梅雨、と季語の世界へ
戻ってきました。
家の匂いをはっきりと感じるのは、帰った時の
瞬間でしょうか。
我が家はそこはかとなく黴の匂いでした。
   
   
   
 久に踏む素足よろこぶ畳かな    茜
 (ひさにふむすあしよろこぶたたみかな)   
   
   
夏の季語;黴(かび)、素足(すあし)

2011年6月16日木曜日

お花畑(おはなばたけ)


   (アイガー南壁を望むグリンデルワルトにて)
 子供の住むドイツからスイスまで片道飛行機代
6千円程で行けるというので、急遽行く事にした。
目的地はユングフラウヨッホである。
3454Mの高さまで岩山の中をくり貫き登山鉄道が
通っているのだ。
岩の中のトンネルを抜けて下車すると、
そこは3454Mの地である。
氷河と万年雪の世界、
ふらふらする感じだった。
  
登山鉄道の脇の花畑のきれいな事。
見たこともない花がいっぱい。
あー!いう事なし・・です。
   
   
   
 アイガーを望むテラスやお花畑     茜
 (あいがーをのぞむてらすやおはなばた)
   
  
  
夏の季語;お花畑

2011年6月13日月曜日

雷(かみなり)


 リスボン名物といわれる「鰯」を食べた。
鱗もしっかりと付いて、腸もきれいな形だった。
ただ焼いただけの鰯だが、ワインビネガーをかけて
食べると、今まで食べた鰯の中でも最高の旨さだった。
   
街のお菓子屋さんには、大人の男達が多く、一杯飲んで
いるかと間違う程、ショーケースに凭れてお菓子と
エスプレッソを飲んでいた。
揚げパンやプデイングのようなお菓子が、懐かしく
日本の味を思いだした。
   
鉄砲を種子島へ伝えた国という認識だったが、
それを話してくれる人と出会う事はなかった。
   
   
   
  遠雷や風の冷たさ何処より     茜
  (えんらいやかぜのつめたさいずこより)
   
   
夏の季語;雷(かみなり)

2011年6月11日土曜日

片陰(かたかげ)


 リスボン(ポルトガル)は石畳で覆われた街だった。
   
1755年の大地震でリスボンの街は壊滅状態
だったという。
その跡に又街を復興する事になった時、
建物の高さを揃え、外壁の様相を規制し、
碁盤の目に道路を作ったという。
それから250年の間人々が歩いた石畳は、
滑らかでつやつやとしていた。
    
職人が補修していたが、5cm角からの大理石を
土に木槌で打ち込み、目地は砂で何度でも再生して使えるエコだった。
雨が降ったら、何パーセントかは目地の砂が
吸い込むだろう。
丘の頂上の城への道も、路地裏も石畳だった。
鉄砲を私の故郷種子島へ伝えたポルトガルは、幼い頃から親しみを持っていた国だったが、
それを話してくれる人と出会う事はなかった。
      
     
  
  
 片陰やモザイク補修の石畳      茜
   
   
夏の季語;片陰(かたかげ)

2011年6月7日火曜日

夏蝶(なつちょう)


 家から15分程歩くとライン河に突き当る。
河幅300Mはあるだろうか、ゆったりとした
流れである。河川敷を含めると1KMだろう。
  
河川敷の広い原っぱを犬を連れた人々が行きかっていた。
どの犬にも紐はついていなかった。それでも主人に
従っていて吠える事もなく良く訓練されていた。
が、一歩草の中に入ると糞がいたるところに・・
犬の税金を納めるから、糞の始末はしないとか。
  
電車に乗る時。切符は買うけれど改札口が無い。
抜き打ちの検札が時々あるらしい。
犬も自転車も料金を払って乗れるらしい。
電光掲示板はあるが案内アナウンスも無い。
全体に静か、雑音が少なく大人社会という感じだ。
路面電車に夕方、食堂車が付いているのを見た。
ビールだけを飲んで賑っていた。
  
国が変われば社会の仕組みも変わる。
という事ですね。

   
    
   
夏蝶に渚やさしきライン河      茜
    
   
夏の季語;夏蝶

2011年6月4日土曜日

薄暑(はくしょ)


 ドイツの初夏は「アスパラガス」が旬である。
着いてさっそく市場へ行ってみると、白いアスパラ
ガスが山と積まれていた。買うとすぐに皮剥き機で
剥いてくれる。白いアスパラの皮は硬くて食べない。
1kg 15本位 700円。
1本の大きさが、直径3cmで、長さ25cm程だから
その食べ応えがわかるだろう。
茹でてオレンデーズソース(バタークリームのような)
をかけて食べるのが一般的のようだ。
茹でたての熱いアスパラは、日本の掘りたての筍を
茹でた時の味にどこか似ているように思う。
さくらんぼ、チーズ、ビールと食べたい物がいろいろ
ある。楽しみです。
   
   
   
 アスパラガスの皮の剥かれる街薄暑     茜
       

 マルクトに山盛り並ぶアスパラガス    孫茜
  (マルクト→市場の事)
     
  
夏の季語;薄暑、さくらんぼ 

2011年5月30日月曜日

滴る


      (望遠レンズで撮りました)
  丹沢山塊の登山道入口を1kmほど歩いた所で
谷を隔ててこんな風景に出会った。
岩登りの練習風景と言ってもいいのだろうか。
この岩登りを楽しんでいるようでもある。
   
よく見ると綱一本に全体重をあずけてよじ登り、
切り立って垂直に近い岩壁に、人間が挑戦している。
なんと無謀で逞しい人達だろう。
どうか無事で楽しんでくださいと願わずにはおれなかった。
   
   
   
 命綱かかる大岩滴れり        茜
 (いのちずなかかるおおいわしたたれり)
  
命綱張りし登攀岩灼ける       茜
 (いのちづなはりしとうはんいわやける) 
  
  
夏の季語;滴る、灼ける

2011年5月27日金曜日

田水張る


 ようやく田に水が入り始めた。
まだ全部の田には行き渡らないけれど
水の音が高くなった。
  
鴨の親子がさっそく遊び始めている。
この辺に住みついている鴨らしい。
田植えが済むと苗の間を泳ぎ回り、雑草を
食べてくれるでしょう。
     
一つの田んぼに向こうの山が映っていた。
この時期ならではの風景である。
   
   
   
 田水張り山の天辺映し出す       茜
 (たみずはりやまのてっぺんうつしだす)   
   
     
夏の季語;田水張る、代掻く

2011年5月25日水曜日

南風


 キーウイの花を初めて見ました。
雌雄異株と同株があるようですが、この花は
どちらでしょうか。
葉陰に咲くと黄色が灯るように見えました。
香りは柑橘系で爽やかです。
   
南の国からきたキーウイは、この時期の南風を
待っていたかのように咲き始めました。
   
      
  
 南吹くキーウイ棚の影混みて    茜
 (みなみふくきーういだなのかげこみて)
    
  
夏の季語;南風、南(みなみ)

2011年5月23日月曜日

アカシアの花


 ニセアカシアの花です。
この時期に目立つ白い花の中でも、緑の斜面に
丸い形で白く咲いているのは、多分ニセアカシアです。
 
真っ白といえない色がやさしく、かすかな香りが
漂ってきました。
この花はてんぷらにして食べられますが、
豆科の落葉高木、枝に棘があるこの木の
花を食べるというのも不思議な気がします。
   
ブログに載せるのも急がないと次々と種類の違う
樹木が花をつけます。忙しいー。
   
   
   
 楽しさや峰を真近に針槐      茜
 (たのしさやみねをまじかにはりえんじゅ)
  
     
夏の季語;アカシアの花、針槐(はりえんじゅ)

2011年5月20日金曜日

茅花流し(つばなながし)


 この土手の花を幾度撮ったでしょうか。
今は茅(ちがや)の花穂が銀色に光っている。
風が吹くと土手に這うようになびき
その度に銀色が眩しい。
この後、絮(わた)となって飛んでいくでしょう。
  
まだ蕾のころの花は噛んでみると少し甘いらしい。
昔の子供は食べていたようですね。
水が入る前の田んぼの上に雲雀(ひばり)が
高く揚がっていました。
揚雲雀という季語があるのに、近頃はちっとも詩心
が動かないので困っています。
(この土手に咲く花→つるぼ、彼岸花、仏の座、
   茅花、仙人草、すいば、野かんぞうetc)
   
  
茅花流し歩く速さの揃いくる    茜
 (つばなながしあるくはやさのそろいくる)
   

 茅花風ピンクに透ける猫の耳       茜  
   
   
夏の季語;茅花流し(この頃に吹く風のこと)
春の季語;茅花

2011年5月17日火曜日

烏賊(いか)


 「水烏賊」を夫が貰ってきた。
足まで入れると約1メートル。大きさに驚いた。
趣味で釣った烏賊で、崖を降りた岩場で釣るのだそうだ。
(正式名称 アオリイカ)
  
まず足を切り離し、両脇のえんぺらを切り取る。
腹の中には真っ黒な墨の袋10センチが2個
ワタを支えるように左右にあった。
透き通ったプラスチックのような中骨が舟の形をしている。
生きている時は身が水のように透き通っているので水烏賊というらしい。
  
白い身を削ぎ切りにして皿にならべると、豪華!
食べきれないのでご近所にも分け、残りは冷凍に。
ねっとりとして甘く柔らかい身でした。
   
   
  
    
 烏賊骨の俎板透かし残りけり    茜
 (いかぼねのまないたすかしのこりけり)
   
  
夏の季語;烏賊