2014年9月25日木曜日

稲の葉

 稲の黄金色には毎年見るたびに驚く。
一面の黄色が、稔った稲の重さを伝えている。
稲刈りの終えた田んぼに稲の束が投げ出されていた。
稲架(はざ)を組むまで、横たえて休ませているようだ。
半分は明日の仕事に回したのだろう。
稲の黄色に視線がいき、その下の葉にはあまり気をとめないが
その葉のいきいきとした青さにも驚くのだ。
太陽に干されて少しづつあの藁の色になっていくのだろう。



 稲の葉のまだ青あおと干されけり       茜

 
 掛けるまで横たえる稲まだ青し        茜





2014年9月19日金曜日

ホップのリース 


上:ホップのリース
下:ヒヨドリジョウゴのリース (いずれも我が庭で育てたもの)

東田直樹著 「自閉症の僕が跳びはねる理由」 という本をご紹介します。
彼は、重度の自閉症で人との会話ができない状態ですが、お母さんや先生の指導のもと懸命の努力で文字盤を使えるようになり、今はパソコンで気持ちを表現できるようになりました。
挫折の中でパソコンが使えるようになったのは、「人として生きていくためには自分の意思を人に伝える事がなにより大事とおもったから」と書いています。
この本では自閉症に対するあらゆる疑問に彼自身が答えています。
示唆に富み、やさしい彼の言葉は哲学的で、人は何の為に生きるのかを深く考えさせられます。
私達は見た目で判断している事のなんと多い事か、偏見や差別をしたくなくても、実際しているではないか。NHKのドキュメンタリーで彼を観た時は雷に打たれたような衝撃と感動でした。パソコンに打ち込んでいく彼の言葉に驚きました。
この本は13歳の時に書かれたもので、22歳の現在まで十数冊の著書があり、この本は世界20か国語に翻訳され、その世界を救ったと言われています。




2014年9月15日月曜日

蓮の実飛ぶ


 蓮の実は甘いと聞いているが、まだ生を食べたことはない。
池の蓮から直接採って、おやつにしたという話をどこかで聞いた。
きっとまだ青い実の時だろう。
この茶色に枯れた蓮の実が柔らかいとは思えない。
今年は花が咲くのが遅いと思っていたら、ザリガニが根を食べたらしいと傍に住んでいるおじいさんが教えてくれた。
しかし、いつ来ても静かでほとんど人と会うことがない。
バス通りに面しているのに、もったいない話だ。
おおかたの人の視線は街に向かっているようだ。



 蓮の実飛ぶひとりしあれば音のする       茜



2014年9月12日金曜日

合歓の木(ねむのき)


 山野草好きが高じて「合歓の木」を手に入れた。
30センチ程だった幼木も1メートル近くになった。
さやさやとした葉が、下から上へ一枚づつ殖えていって今10枚になっている。
朝、大きく葉を広げ、夜には一葉一葉が閉じてしまい
それぞれが一本の枝のようになる。
まるで割り箸が10本ぶら下がっているような姿になるのだ。
一番上右の黄緑の丸まった葉が新しく開こうとしている葉である。
毎朝葉を数え広がっていく葉の色を楽しんでいる。
下には眠り草を植えたが、葉がよく似ているものである。



 卵売る幟小さし鶏頭花       茜


2014年9月4日木曜日

鶏頭、 ミソハギ


鶏頭が、だんだん頭でっかちになってきた。
小さな種でいっぱいになっているのだ。
深紅の花はうつくしいのに、近頃は余り見なくなった。
というのも、お盆の頃必ず仏前に供える花に入っていたからで、現代の人には古くさく思えるのかもしれない。
うしろの紫色の「ミソハギ」もそうだ。
みそぎはぎ が語源らしく、禊の祓に使われる地方もあるという。
この辺りでは畑の片隅によく咲いている。
今年もお盆に切り花として供えただろう。



 鶏頭の種こぼしつつ膨らみぬ          茜