2011年1月12日水曜日

霜の一句


 私の尊敬する倉橋羊村先生のご講義を受けた。
忘れられない言葉があるので記しておきます。

  霜掃きし箒しばらくして倒る  能村登四郎
  
  立てかけた箒がしばらくして倒れた事実だけを
  示している。原因をあえて中間省略している。
  見たままを単純に書いたと思い違いしてはなら
  ない。なるほど一見その事に酷似しているけれ
  ど、例えば
  「一」が初めから単純に「一」なのと、
  筆を削った結果の「一」とは同じではないのだ。 
   
この言葉から得るものは大きい。私はを写生する時
見たままを書き止めて終わってはいないか。
推敲の大切さを思った。自分は何を言いたいのかを
問うてみる。真髄に迫る句に少しでも近づきたいと
思う。
  
  
冬の季語;霜