2011年11月2日水曜日

秋の虹


 草津温泉をとりまく山々は、唐松の黄葉で
黄金色に輝いていた。
森に入って歩くと、なんとも言えない樹脂の
匂いで心地良かった。
ときおり降る日照雨(そばえ)に、照り翳りが
速く、雲の形の影が走るのがわかった。
ふと見ると
唐松の森から虹が立っている。
森の明るさから昇っているかのように
いつまでも消えなかった。
   
   
   
   
 谺して谷深めゆく秋の虹       あかね
 (こだましてたにふかめゆくあきのにじ)
    
 すり鉢の底の湯の町鳥渡る      あかね
 〈すりばちのそこのゆのまちとりわたる)  

   
秋の季語;秋虹、鳥渡る