2021年10月9日土曜日

ユングフラウ鉄道(スイス)、一期一会

登山鉄道トンネルへ向かう

この岩山の中をトンネルは通っているらしい。
トンネル内の駅、くり抜かれた横穴窓とトイレのみ。
岩山の中の終点3454mの駅から氷河の中を歩く。360度氷の中。
氷河のトンネルからエレベーターで上がり外へ。
目の前に大氷河が広がっていた。標高3573m 

月日が経ってしまい随分前の事だが、忘れないうちに書いておこうと思う。息子家族がドイツに住んでいた時の夏、私達は彼らに会いに行った。その時ドイツの隣の国スイスへは飛行機で40分、7000円で行けることを聞き、急遽スイスの「ユングフラウ登山鉄道」に乗ろうと思い立った。1912年に開通したヨーロッパ最高地点の駅がある。高い山々が連なるアルプスの、アイガー、メンヒ、の岩山の胎内を掘削し3454mの終点ユングフラウヨッホ駅まで岩山の中をトンネル鉄道が通っている。その終点駅は岩山の中にあるのだ。

クライネシャイデック駅で登山鉄道に乗り換えると、車輪とレールはまるで大きな鋸状になっており、それがカッチリ噛み合って登っていくのだった。トンネルの中に2つの駅があり、外界に向かって大きな窓が開けられていたがそれは工事中の石を捨てるための穴だったという。そして岩の中の終点から、今度は厚い氷河をくり抜いた氷のトンネルを歩いて3573mの外へ向かった。

その列車の中でのこと。私は外国へ行き東洋人を見ると親しみを感じ声を掛けたくなる。その時も近くの席の年配の婦人に声をかけた。台湾の方で教職を退いて旅行しているところだという。日本の大阪にも行ったことがあると流暢な日本語で話されたので、私も「台湾に2度行きました。親切にして頂きました。」と答えた。そして台湾と言えばどうしても言いたかったあの事を話した。「東日本大震災の時、台湾の方々から多額の義援金を頂きました。私達は感謝しています。本当に有難うございました。」と言った。ただそれだけの一期一会の挨拶だったがにっこりと笑って別れた。


大空の青く真夏の大氷河  美代