2022年1月29日土曜日

寒落暉


 千載一遇というべきか、カメラを構えるようになってからこの10年間で私にとって一度きりの落暉だった。わずかの間だったが何か起きそうな気がする程鮮烈な光だった。大山の頂上に当たってチンダル現象ともいうべき影のような筋が出来ていた。このような自然の前で人は時として不安にかられるようだ。明日という不確かな日が本当にくるのか。
冬の夕焼は弱々しく淡い色が多いが、雲に反射して強い光になったのだろう。あたりは漆黒の闇が迫っていた。(2011年にも掲載)

寒落暉恐れる闇を深くせり   美代