吉野全体が急斜面、私の感覚では15度から30度の坂道ばかり、転ばないようにバスの集合時間が気になって急いだ。
「高野山」も、雨の合間の2時間だった。なかは広く奥の院までを、ガイドさんに付いて回るのが精一杯だった。空気がしんと引き締まるような奥の院では、数年ぶりに御開帳となった地下霊廟の、空海が使用されたというお品に直接手で触れる事ができ、宗教を持たない私にも、なにか心に響くものがあった。
「室生寺」はまたの名を「女人高野」というようだ。シャクナゲの群生に取り巻かれた風情は、その名にふさわしいと思った。これから5月にかけて全部の木が花を付けると、どんなに美しいだろうと想像した。
1泊2日のツアーは、新幹線とバスでの急ぎ足の行程、高齢者ばかりの一行だったが一人も遅れることもなく、歩き通すこともでき無事帰宅できたのが良かった。今度という機会があるかわからないが、ゆっくりと足を止めて墓石の文字を読み、座禅を組み、お庭も拝見したいものだと心からそう思った。
(パンフレットより)
山一つ雨の掻き消す遅桜 miyo