2009年9月26日土曜日

ナンバンギセル

空き地の芒(すすき)がきれいに刈られていた。
通りかかると、そこにおばあさんが小さな背を丸めて
しゃがんでいた。  具合でも悪いのだろうかと思い、
 「どうかなさいましたか」と声をかけた。
      
おばあさんはヨロヨロと立ち上がると
握り締めていた手のひらをゆっくりと開いてみせた。
何本かのマッチ棒のように見えた。
 「それは何ですか」
 「ナンバンギセル」  ぽつりと答えた。

初めて見るこの花が、「ナンバンギセル」なのか。
名前だけは知っていた私は、
感激して一緒にさがす事になった。

芒原旧知のごとく笑いあう       あかね
 (すすきはらきゅうちのごとくわらいあう)  
     
丈は10センチくらい。芒の根に寄生しています。
別名「思い草」ともいわれているこの草は万葉集にも
詠まれているようです。
         
道の辺の尾花がもとの思い草いまさらになどものか思はむ
                      (詠み人知らず)